<トランプ政権のホルムズ海峡封鎖により250日以上も海上にいた米空母「リンカーン」の乗組員5000人。トイレは故障し物資も枯渇する悲惨な状況に追い込まれた原因を、アメリカ出身芸人のパックンが解説>
皆さんはこの9カ月間で何回職場に行きました? 実はその間、5000人の米海軍兵が1回しか職場に行っていない! しかし、さぼっているわけではなく、逆に1回出勤して、そのまま家に帰らないでずっと職場に泊まり込んでいる。高市首相でさえ、そこまでワーク・ライフ・バランスを捨てたくないだろう。
5000人の海軍兵や航空部隊員を乗せているのは、米海軍の空母「エイブラハム・リンカーン」だ。中東に派遣されてからずっと海の上。乗組員は家族にも会えない。街にも出掛けられない。(規則上)性行為もできない。さらに、乗組員の報告によると、食料品や歯磨き粉など生活必需品が不足しているし、シャワーやトイレも故障している。
スコット・ベッセント米財務長官は「イランの経済的追放作戦」を唱えているが、自国の乗組員が自由を奪われ、生活苦に陥っている。空母から飛ぶものは空に向かうはずなのに、海に飛び込もうとした乗組員もいるそうだ。
空母が出港から帰港まで何カ月もかかること自体は珍しくない。では、なぜ今回は悲惨な状況になったのか? その要因は「ディエゴガルシア」。ラテン系アーティストとかではない。インド洋に浮かぶ小さな島だ。そこの米軍基地から補給しようとしていることが大問題。もちろんそんなはずではなかった。
本来、中東にある空母など米軍艦の装備品や食料はバーレーンにある米軍基地から運ばれる。しかし、その基地はイラン戦争開始直後にイランによって破壊された。たとえ基地が使える状態であっても、外洋に浮かぶ空母まで行くにはホルムズ海峡を通らないといけない。それができなくなり、リンカーン号がいるオマーン湾からは何千キロも離れているディエゴガルシアに補給拠点が替わった。全世界の消費者と共に、米軍もホルムズ海峡封鎖によって大迷惑を被っている。