「フーシ派」としても知られるイエメンの武装組織アンサール・アッラーが急速に攻勢を強め、同国の紅海沿岸を掌握した。これにより、重要な海上交通路がまた一つ、イランを中心とする「抵抗の枢軸」の影響下に置かれようとしている
そのバブエルマンデブ海峡は、イエメン南西部と東アフリカのジブチの間に位置し、アデン湾と紅海を結ぶ。紅海は北でスエズ運河を経て地中海につながっている。バブエルマンデブ海峡は、最も狭いところでは幅わずか約26キロしかない。
◾️アラビア半島の両側が同時に不安定に
サウジアラビアが支援するイエメン政府軍が後退するなか、フーシ派がミサイルやドローンを使って新たな封鎖に乗り出せば、原油、コンデンセート(天然ガス採掘時に得られる軽質油)、石油製品を合わせて日量約810万バレルの輸送が滞ることになる。
これは世界の海上石油貿易の約10%に相当する。しかも、2月28日にアメリカとイスラエルが始めた戦争への対抗措置として、イランが要衝ホルムズ海峡の船舶の通航を制限して以降、バブエルマンデブ海峡は代替ルートとして戦略的重要性を一段と増してきていた。
「フーシ派がイエメン西岸とバブエルマンデブ海峡への進入路を確実に支配すれば、もはやイエメンだけの問題ではなくなる」と、ブリュッセルに本拠を置く欧州平和研究所(EIP)の上級イエメン顧問で紛争アナリストのヒシャム・アルオメイシーは本誌に語った。
アルオメイシーによれば、フーシ派は必ずしもバブエルマンデブ海峡を実際に封鎖する必要はない。「リスクが大きすぎると海運会社が判断する程度に危険な状況をつくるだけでいい」。そうなれば「保険料が上昇し、船舶はアフリカ南端を迂回するようになり、輸送時間が延び、最終的には物価が上がる」