起業家人生を振り返って一番のHARD THINGSは?
──これまでの起業家人生を振り返って、最も苦しかった出来事は何でしたか。
振り返るといくつもありましたが、1つは起業当初の2年間です。事業と呼べるものがまだ何もない中、投資家からお金を集めていて、説明もしなければいけない。人に会うたびに話すアイデアが変わっていて、自信を持てない状態が本当につらかったですね。
ユーザーがつかない、資金がショートしそうになるなど、不安と隣り合わせの状態は起業につきもの。ただ、それまで存在しなかったサービスが形になり、実際に使ってお金を払ってくれる人がいる。その喜びが大きいから、簡単にはやめられない。
また、起業家はみんな似た苦労を経験しているとわかると、気持ちが軽くなります。投資家ベン・ホロウィッツ氏の『HARD THINGS』が広く読まれたのも、「誰しもハードシングスがある」と気づけることが、一番の安心材料になるからだと思います。
『HARD THINGS』
著者:ベン・ホロウィッツ
翻訳:滑川海彦、高橋信夫
序文:小澤隆生
出版社:日経BP
要約を読む
「評価は顧客がすべて」。会社員にも必要な起業家精神
──お話を伺っていると、起業家精神(アントレプレナーシップ)は会社員にも重要な気がしてきました。会社員でも意識するとよいマインドセットはありますか。
起業家にとっての評価は顧客がすべてといえます。ところが組織が大きくなると、評価者が組織内に増えていく。評価者を気にし出すと、良いものが生まれにくくなってしまうのです。
大企業にいる方で「この人面白いな」と思う方々は、「社内で評価されなかったら他に行けばいい」と考える人が多い印象です。「ずっとこの会社にいなくては」と思っていたら失敗を恐れて挑戦が難しくなってしまう。