「自分が本当にほしいもの」でなければ起業は続かない
──内藤さんが事業アイデアを見極めるうえで、大切にしてきたことは何ですか。
最初の2年間は、色々なアイデアを試したものの、ピボットの連続でした。最終的に腹落ちしたのは、Y Combinatorをつくったポール・グレアム氏が提唱する「自分がほしいけれど、まだこの世にないものを作る」というアプローチでした。
起業は大変なことが多いので、起業家自身が心から信じられるプロダクトじゃないと続かないんですよね。最初のアイデアについては、すでにAirbnbにくわえ、ホテルの売れ残り客室を安く予約できるサービスHotelTonightが伸びていたので、その民泊版は筋が良さそうに思えました。ところが、実際は良い民泊の空室はまず余っていないし、結局それは「自分がユーザーとして本当にほしかったもの」ではなかった。
もともと僕は、AirbnbやUberのような、人と人をマッチングさせるシェアリングエコノミーやマーケットプレイス型の事業が好きで、そこにアートに近い面白さを見出していました。同時に、事業で向き合うなら「衣食住」のようにずっと必要とされてきた、普遍的なテーマがいいとも思っていた。
そこから自分自身が心からほしいと思えるプロダクトを探してたどり着いたのが、「ボタン一つでホテルに住める」というAnyplaceのアイデアです。その後コロナ禍を経て、リモートワーカーが本当に必要とする「働きやすい長期滞在の住まい」というニーズが重なり、今のサービスに至りました。