<バーナム英首相が歴史的過ちについて謝罪に前向きな姿勢を示しているが、賠償問題には乗り気でない理由>
イギリスのアンディ・バーナム首相は最近、大西洋を越えたかつての奴隷貿易でイギリスが果たした役割について、英政府として正式に謝罪する考えに「前向き」な姿勢を示している。ただし、賠償は適切でないと考えているようだ。
僕自身は、賠償の議論には、多くのイギリス人が考える以上に説得力を感じている。少なくとも歴史上の巨大な不正義に自分たちが加担したと認めながら、その責任を取る必要はないと言うのは筋が通らないだろう……という意味合いにおいて。
多くの人は深く考えもせず、「そんなの大昔の話じゃないか」と言う。確かにそうだが、いま僕たちは奴隷制についてかつてないほど明確に歴史的な理解ができるようになっていて、さらにその実態は、都合よくまかり通っていた言説より相当ひどいものだった。
国民として当時何が起きたのかを本当に「理解する」ようになったともいえる今となっては、何も知らないがゆえにこの問題から目をそらしていた祖父母世代とは違って、僕たちは何らかの措置を取る必要があるということになる。
僕たちが学んだことには、次のようなものがある。
イギリス本土には奴隷制がなかったとされるものの、大英帝国の植民地、特にカリブ海諸国のサトウキビ農園では奴隷制が存在した。
もちろん、これは以前から知られていたが、深く考えられてはこなかった。遠い海外で起きたことで、一般のイギリス人の手は汚れていない、というのがよくある安易な考え方だった。
これを指摘するのはなにも僕が初めてではないが、イギリス人は100年以上にわたり、賃金も支払われない過酷な労働で生産された、安く豊富な砂糖を紅茶に入れて飲んできた。