■バイオ燃料の主な原料

エネルギー多様化におけるバイオ燃料の意義
これまでバイオ燃料については「水素社会への橋渡し的存在であり、中間的な移行段階を支える技術に過ぎない」という見方があった。
しかし天野は、「将来的にも多様なエネルギーの1つとして残り続ける可能性が高い」と考えている。水素普及の難しさに加え、エネルギー安全保障を重視する世界的潮流のもと、特定のエネルギー源に依存すること自体がリスクと見なされるようになっているからだ。
「今、国内外のエネルギー企業の幹部と話すと、『今日、直ちにイランと米国の間で停戦が合意されたとしても、エネルギー環境は変わる。中東から8割以上の石油を買うような時代には、もう戻らない』という声が聞こえてきます。エネルギービジネスがより多様化していくことは必至でしょう」
そのような状況から、バイオ燃料関連市場は拡大が見込まれ、エネルギーを巡る環境が大きく変化する中で、日本企業には新たなサプライチェーン構築への参画機会も広がっている。
バイオ燃料の製造、流通にとどまらず、さまざまな分野で強みを持つ日本企業が連携し、海外パートナーとともに事業を育てていくことができれば、日本の産業競争力強化にもつながる可能性を秘めている。
そのためには、バイオ燃料ビジネスにおける長期的な原料調達契約や金融支援の仕組みづくりも重要だ。天候不順や農産物の価格変動など、原料の不確実性が大きい産業だからこそ、JBICのような政策金融機関が果たす役割も大きい。
脱炭素とエネルギー安全保障の両立が求められる時代において、重要なのは、1つの正解に依存しない、エネルギー源の多様化である。EV、水素、再生可能エネルギー、そしてバイオ燃料。それぞれの技術を組み合わせながら、多様なエネルギー源を併用していくことが、今後の現実的な道筋となるだろう。
曖昧すぎる目標、敵国の軽視、自国軍事力への過信……長期化・泥沼化したベトナム戦争との共通点