私がモハンメドを結婚相手に選んだとき、父は、やっぱりおまえはできそこないだと断言した。理由はもう想像がつくでしょう! 私は昔ながらのガザ人で、モハンメドは難民の子。彼の家族はヤッファ(現在のテルアビブの一地区)から逃れてきて、今はハンユニス在住。ヨルダンに逃れた親戚もいるという。そして今、私の小さなオルジワンは新しいファミリーネームを継ぐことになる。私の家族が私に注いでくれたのとは比べものにならないほど大きな愛を彼女に注いでくれる、難民のファミリーネームを。
私の赤ちゃんへ
愛しの天使ちゃん、私はあなたが宿るずっと前から、あなたの姿を思い描いていました。この腕にあなたを抱き、あなたの目をのぞき込むことは、この上ない喜びです。私にはもうわかっています。私が人生で成し遂げた最大の功績は、どんなときもあなたを愛してくれる家族を、あなたに与えてあげたことだと。
私はあなたが生まれる前から、あなたを幸せにするためにやるべきこと、やってはいけないことのリストを作り、毎晩眺めていました。そのリストの先頭にあったのは「あなたにやさしい父親をあげる」でした。
私の小さなオルジワン、勇敢で、でも忍耐強い子になってね。きちんと物を言える子に、でも親切で強くて思いやりのある子になってね。自分らしく生きてね。私たちがあなたを愛するのと同じくらいに自分を愛してね! 自分を信じるのよ、そうすれば誰にも負けない。
父さんも母さんも、これからガザがどうなろうと、ガザの人たちがどんな態度であなたに接しようと、あなたが自分の夢をかなえるのを最後まで応援する。絶対に。

オルジワン・シュラブ
Orjwan Shurrab
現在はエジプトへと逃れ、そこで夫と子供ふたりと暮らしている。下の子は首都カイロで生まれたため、パレスチナの正式な出生証明書を持たない。証明書の発行は、戦争の終結を待つよう告げられた。彼女の親族は今もガザに残る。
We Are Not Numbers: The Voices of Gaza’s Youth
『〈ガザ〉を生きる パレスチナの若者たち10年の手記』
【編】アフメド・アルナウク、パム・ベイリー
【訳】沢田博&チーム・アルミナ
四六判上製/332ページ/2400円+税
原書房より2025年12月8日刊行
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