かつての典型はというと、首相になる政治家は、長い苦闘を経て頂点まで上り詰め、その後、重圧の大きい最高職をかなりの期間務めるものだった。自分の意思にしろそうではないにしろ表舞台から退き、回顧録を書いたりもしたかもしれない(その中ではたいてい自分のキャリアは華々しく描き、敵を厳しく批判するものだ)。
そして時折、長老政治家として、党派を超えた立場から自らの洞察と経験を語り、介入したりした。
スターマーの将来はどうなる?
今はもはや、そういう時代ではない。44歳という若さの元首相も出た(スナクの2022年の退任時の年齢)。ブレアはといえば、イギリス政治の過去の人ではなく、世界の舞台でのビッグプレイヤーになるべく「卒業」した身であるかのように振る舞っている。
ブラウンは75歳になって、今年、ある種の政界復帰を果たした。スターマーが、低迷する政権に箔を付け、首相降ろしの動きを食い止めようとする露骨な試みとして、ブラウンを国際金融・協力担当特使に起用したからだ。それが失敗した今、ブラウンは、自分を必要としていない新首相の下で、実体のない仕事を続けることになるのだろうか。
スターマーの将来がどうなるのか、僕は気になる。ウクライナをめぐる対応や、トランプとの難しい関係の舵取り、ヨーロッパの指導者たちとの同盟強化などで手腕を見せてきただけに、外相としてなら貴重な存在になり得る。だが、自分を失脚させた人物の下で働くのは、彼も我慢ならないと思うだろう。
2年前に地滑り的勝利を収めた時にスターマーは、自分こそこの流れを断ち切り、首相として任期を全うする人物になると強く確信していたに違いない。
超大国の現在地と「トランプ後」の世界