2022年ごろから急速に普及し始めた生成AIは、米国と中国による技術覇権争いの新たな戦場となっている。AIの開発や運用には膨大な計算能力が必要なため、両国ではデータセンターの建設ラッシュが続く。
デンマークの商用データベース「Data Center Map」によると、米国では全50州で3000カ所を超えるデータセンターが建設され、さらに1400カ所以上が開発中だ。
AIの処理やデータ保存に必要な数千個もの高性能半導体チップは膨大な電力を消費し、過熱を防ぐために常時冷却が欠かせない。
こうした電力集約型の施設が地域の送電網や水資源、電気料金に及ぼす影響を懸念する声は、米国では住民だけでなく与野党双方の議員からも上がっている。
3月に実施されたギャラップの世論調査では、回答者の71%が自分の地域でのデータセンター建設に反対すると答えた。
「地域社会はメリットよりもデメリットの方が大きいと考えている。税収増や一定の雇用創出という利点はあるが、その多くは建設期間中の一時的な仕事であり、稼働後は多くの人員を必要としない」
ブルッキングス研究所ジョン・L・ソーントン中国センターのフェロー、カイル・チャン氏は本誌にこう語った。
◾️政府主導で追い上げる中国
一方、中国のデータセンターの数はまだ米国の10分の1にも満たないが、政府主導の大規模建設でその差を急速に縮めようとしている。
北京ハイランダー・デジタル・テクノロジーの海中データセンタープロジェクトを率いるゼネラルマネージャー、プー・ディンは中国紙チャイナ・デイリーに対し、中国のAI向け計算需要は2030年までに500倍に拡大するとの見通しを示した。
今後5年間で、中国は約2950億ドルを投じ、チャイナモバイルなど国有企業が中心になって全国規模のコンピューティング拠点ネットワークを整備する計画だ。