Ankur Banerjee

[シンガポール 23日 ロイター] - 世界的な株価指数算出会社MSCIは23日、「新興国」と位置付けているインドネシアの市場区分の審査を11月まで延長すると発表した。インドネシア政府が打ち出した一連の対応策を見極めるためで、同国市場は当面、不確実性に直面し続けることになる。「フロンティア」に格下げされる可能性もあり、世界主要株式市場で年初来のパフォーマンスが最も悪いインドネシアは長期にわたる不確実性に直面する。

インドネシア資産は1月以降、大きく値を崩している。MSCIが同国株式の指数調整を凍結し、所有構造の不透明さ、浮動株の状況の見えにくさ、信頼性に欠ける取引データなどを理由に、フロンティア市場への格下げを警告したためだ。

今回の審査延長は短期的な安堵感からの買い戻しを誘う可能性があるが、インドネシアを巡る懸念の大部分が残っていることから、かつての花形市場から重荷へと転じた同国市場のセンチメントは引き続き低調にとどまる見込みだ。

インドネシアは1月以降、浮動株比率の引き上げなどの措置を発表し、こうした懸念の払拭に努めてきた。MSCIは23日、インドネシア当局による透明性確保に向けた改革を評価した。

MSCIは声明で「これらの発表は正しい方向への一歩を示すものだが、国際的な機関投資家にとって重要なのは、これらの措置が市場全体で一貫して実施され、効果が持続することだ」と指摘した。

MSCIは今年の市場区分審査で、11月の見直し時点までに十分な進展が見られない場合、フロンティア市場への格下げに関する協議といった選択肢を検討すると表明した。

シンガポールのSGMCキャピタルのファンドマネジャー、モヒット・ミルプリ氏は、MSCIがフロンティア市場への格下げに関する協議の開始を見送り、改革を明確に評価したことを挙げ、審査延長は多くの市場関係者が懸念していたよりも良い結果だと述べた。その上で「トーンは建設的だったが、明らかに条件付きだ」とし、「即時の格下げリスクは消滅したのではなく、先送りされたに過ぎないと考えている。MSCIを巡る不安要因は11月の審査まで残り、一部の外国人投資家の慎重姿勢が続く可能性がある」と指摘した。

MSCIは4月にインドネシア市場の審査を6月まで延長し、5月には大部分が大富豪と関連した数社を指数から除外した。

プラボウォ大統領のポピュリスト政策に対する投資家の不安が高まっており、ルピアは過去最安値に下落、投資環境全体が脆弱に見える状況となっている。

インドネシアは今年、相次ぐ逆風に見舞われている。格付け会社ムーディーズ・レーティングスとフィッチ・レーティングスは今年、政策決定の信頼性が低下したことを理由にインドネシアの格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げた。

ジャカルタ総合株価指数は年初来で30%近く下落。外国人投資家は今年に入ってインドネシア株を38億9000万ドル相当売り越した。

MSCIは先週、価格形成をゆがめる協調的な取引の兆候が続いており、英語での詳細な市場情報の提供も不十分だと指摘した。

格下げが実施されれば、インドネシアはバングラデシュ、スリランカ、パキスタンと同列に置かれ、大打撃となる。米金融大手ゴールドマン・サックスの試算では、インドネシア株式市場から最大130億ドルの資金流出を招く可能性がある。インドネシア株式の時価総額は既に1月の9000億ドル超から6010億ドルに縮小している。

MSCIは、透明性を巡る問題は同社の市場アクセシビリティー枠組みのうち、情報フローと市場インフラの柱に直接関わるものだと説明。市場参加者から「投資適格性に関する深刻な懸念」が寄せられていると明らかにした。

同社はさらに、浮動株比率の判定や投資適格性の幅広い評価に関連して、インドネシア当局の改革の範囲、一貫性、持続的な有効性を引き続き評価していくとした。

SGMCキャピタルのミルプリ氏は「インドネシアが新興国の地位を維持するのが当社のメインシナリオだ」とした上で、「今後数カ月は新たな政策発表ではなく、実行力、信頼性、そして証拠が問われることになる」と述べた。

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