2022年6月19日投票の杉並区長選挙で、私は初めて選挙に立候補し、当選しました。
187票というギリギリの僅差で、3期12年を務めた現職区長を破っての当選。
直前まで欧州のベルギーに在住し、職業はNGOの調査研究スタッフ。
地縁・血縁なし、政治経験なし。政党公認ではなく、市民団体の支援を受けての立候補。
47歳、杉並区初の女性区長。
さまざまな要素が「異例」として注目を浴び、特別区とはいえ、いち自治体の首長選挙とは思えないほど多くのメディアに報道されました。(「はじめに」より)
東京都杉並区の現区長である岸本聡子氏は、就任からおよそ半年後の2023年1月に上梓した『地域主権という希望――欧州から杉並へ、恐れぬ自治体の挑戦』(岸本聡子・著、大月書店)の冒頭で、当時をこう振り返っている。
現在、6月28日に投票が行われる杉並区長選が注目を集めているが、その背景には4年前のこの“事件”の影響があるのだ。
今年の選挙は、前回異例の当選を果たした岸本氏に対し、自民党前区議の大和田伸氏、前区長の田中良氏、国際ビジネスコンサルタントの増田義彦氏が挑むという図式(もうひとりの候補者だった上梨裕奨氏は、6月15日の公開討論会で立候補取りやめを表明)。
端的に言えば、「リベラルと保守の争い」となっているのだが、自民党が同区長選で推薦候補を立てるのは27年ぶりであり、推薦の大和田氏の元に大物議員らが駆け付ける一方で、自民党の一部は田中氏を支援しているため、「保守分裂」も起こっている。
岸本氏はリベラル層から支持を獲得する一方、保守層からはさまざまな批判を受けている。代表的な批判の1つが、区民との対話を重視する彼女が、声を聴くだけで決断できない、リーダーの資質に欠け何の実績もない、といったものだ。
