6月12日、サッカー・ワールドカップ(W杯)が開幕する。カリブ海の島国、オランダ自治領キュラソーは48チームのうち、人口(約15万8000人)も面積(約444平方キロ)も「最小の国」だ。
初出場を決めた昨年11月、島の人々は何日も祝い続けた。だが代表メンバーのほとんどが旧宗主国オランダ生まれの選手であることに人々の気持ちは複雑だ──地元選手が活躍する姿を見たいが、オランダの指導者の育成力や選手のレベルの高さも理解している。
「ここにも才能ある人はたくさんいる」と息子がサッカー選手を目指すステファニー・セインパールは言う。「でもオランダから来た選手のほうがレベルははるかに高い」
1634年にオランダはキュラソーを占領し、カリブ海最大の奴隷貿易拠点へと変えた。「ここは植民地だった」と、航空会社の社長を務めた作家のバルデマール・マルチャは言う。「非公式には今もそうだ。キュラソーが勝てば、オランダの勝利にされる」
マリオ・ヘラー(写真家)

撮影:マリオ・ヘラー ドイツ・ベルリンを拠点とするスイス人写真家。2015年にパティシエからプロの写真家へと転身した。主に欧州、中央アジアの社会構造と文化的背景の関係性をテーマに独自の写真作品を制作する一方、新聞・雑誌の編集部にフォトエディターとして勤務する
【連載第1029回】Newsweek日本版 写真で世界を伝える「Picture Power」
2026年6月2日号掲載
Photographs by Mario Heller-Panos
美と強さを追求し、古代ギリシャから監獄にまで受け継がれた自重筋トレ。その歴史と実践方法とは?