教会は死者のための祈りで、霊能者は口寄せで金を得てきた
「大切な人を失うことは信じられないほどつらいし、つらさは想像以上に長く続く」と、オコナーは言う。
「だが実際のところ、当初は悲しみも大きく、悲嘆の波が繰り返し押し寄せるが、その強さや頻度はだんだんと減っていく。心配なのは、そうしたプロセスが滞ってしまうことだ」
亡き人に会いたいと願う気持ちをその都度、満たすように設計されたテクノロジーが、悲嘆のプロセスを妨げてしまうリスクは否定できない。
だがハリソンは、AIツールは「(問題が起きないか)監視することも、予防措置を講じることも可能で、セラピーと組み合わせて利用することもできる。想像し得る限り、最も害が少ないと言ってもいいのではないか」と反論する。
また、悲嘆に対処するためのツールが継続的な課金につながることへの倫理的な懸念の声も上がっている。
「今は亡き大切な人との絆を維持できるとなれば、故人と(バーチャルな形で)再びつながることへの大きなモチベーションとなる。それを収益化する方法が見つかればどうなることか」と、オコナーは言う。
もちろん、死者との関係を媒介する「ビジネス」は昔から存在した。教会は死者のための祈りで、霊能者は口寄せで金を得てきた。だが今や規模は拡大し、道具も自動化やデータへと変わりつつある。
悲嘆という心理的プロセスは痛みからの解放に向かうのが理想のはずだ。ところがそこに、サブスクリプションや従量制課金、顧客の定着率の向上といったビジネスモデルが組み合わされる。おまけに、こうしたプラットフォームの多くには、まだ規制の網はかけられていない。
次のページ