イタリア著名医師ら「新型コロナは威力失った」 政府は同意せず「国民は最大の警戒維持を」

2020年6月1日(月)11時19分

イタリア・ミラノにあるサンラファエーレ病院の病院長は31日、現地のテレビ番組で、新型コロナウイルスは威力を失い、致死力が大幅に低下しているとの見解を示した。

アルベルト・ザングリロ氏は国営イタリア放送協会(RAI)の番組で「臨床的な観点では、新型コロナウイルスはイタリアでもはや存在しない」と強調。「過去10日間に綿棒で採取された検体はウイルスの量が1─2カ月前に比べて極めて少ないことが示された」と述べた。

イタリアの新型コロナウイルス感染症による死者数は3万3415人と、世界で3番目に多い。感染者数の累計は23万3019人で、世界で6番目の多さ。

ただ、5月に入ってからは新規感染者と死者の数がともに着実に減少しており、政府は厳しい封鎖措置を緩和しつつある。

ザングリロ氏は、感染第2波について一部の専門家は過度に警鐘を鳴らしていると主張し、政治家は現在の新たな現実を踏まえる必要があるとした。「通常の国家に戻る必要がある。国を恐怖に陥れている責任を誰かが取るべきだ」と語った。

一方、保健省のサンドラ・ザンパ事務次官は声明で「新型コロナウイルスが消滅したという仮説について科学的な証拠が得られるまで、そう主張する人々にはイタリア国民を惑わせないよう求める」と強調。「国民には最大の警戒を維持し、対人距離の確保や大規模集会の回避、頻繁な手洗い、マスク着用を継続するよう促す」とした。

ジェノアにあるサンマルティーノ病院の感染症クリニック責任者、マッテオ・バセッティ医師もANSA通信に対し、新型コロナの威力は2カ月前に比べて弱まったと指摘。「現下の新型コロナ感染症が(2カ月前と)異なるものであるのは明白だ」と語った。

[ロイター]




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