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ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々

新町智哉|ミャンマー

日本を目指すミャンマーの若者たち

ある日の東京駅:筆者撮影

おはようございます。
街からクリスマスの音楽が聞こえ出したヤンゴンから新町がお送りします。
一見平穏なヤンゴンでも色々と不穏な動きはあります。
いや、不穏な動きだらけという感じではあります。
それでも出来る限りの日常を送ろうという心意気でしょうか?
コロナ前の時のようにはいきませんが、少しでも雰囲気がやわらぐのであればこんな時のクリスマスも悪い事ばかりではないと思います。

さて、今回は「日本を目指すミャンマーの若者たち」と題しまして日本へ(主に)働きに向かうミャンマーの若い人達についてお伝えしていこうと思います。
全体的な情報というよりは私個人がみているモノの情報が多くなると思います。

本題の前にお知らせです。
ミャンマー国民の意識を確認するため、第一回ミャンマー世論調査を行いました。
今一度国民が何を考えているのかを知る良い機会になると思います。
是非ご覧ください。

それでは本題です。
令和4年度~令和5年度にかけて在日本外国人口ランキングに変更がありました。
トップ10圏外だったミャンマー人が8位にランクインしたのです。
驚く事に現在日本にいるアメリカ人よりミャンマー人の方が多いという状況です。
皆さんはご存じだったでしょうか?
昨年(2022年)4月よりミャンマーの空港閉鎖が解除されそれまで日本行きを待たされていたミャンマー人が一気に流れたという事もあると思います。

しかし、今年になっても日本行きを希望するミャンマー人の勢いは収まる気配はありません。
今年の日本語能力検定試験にミャンマー人が10万人も受験したというのもニュースになりました。
ヤンゴンにいると日本語を勉強し、日本に行くために地方から出て来た若者たちが沢山いるのを目の当たりにします。

勿論、日本だけではなく英語圏などへの移動も増えていると思います。
ミャンマーの人は割と英語にも明るい人が多数です。
日本と違い、大学まで出た人はかなり英語が使える印象です(私自身が中学英語レベルなどであくまで肌感です)
現在日本語教育に少なからず関わっている私が言うのもなんですが、可能性の大きさという事で言うと英語を勉強し、英語圏のどこかに行く方が良いのではないかと思うところもあるのですが、人気で言うと圧倒的に日本語が一番です。

このような状況の中多くの人が日本を選んでくれる事は日本人として嬉しく思う反面、日本国としてキチンとその想いに答えられていないという状況が非常に歯がゆい思いです。
ものすごい独断と偏見で言いますが、日本はもっとミャンマーを贔屓した方が国益にプラスになると思っています。
少なくともこれまで以上に在日ミャンマー人の新しい(特に若者のための)コミュニティが重要になってくると考えています。

というのも、昨年2万人超の人がミャンマーから日本へ移住した内の半数は技能実習生という事です。
その多くは20台前半。
圧倒的に若い人が移住していった多数という事になります。
更に詳細な数字は後になれば出てくるのかもしれませんが、ミャンマーの若い人たちが今日本へ移住するという流れは当分続くと思われます。
明日クーデターが終わったとしても、です。

日本人の感覚で「ミャンマー人」と一括りにしてしまうと多様性に富んだ人々を理解する事は一生無理なのでもう少し解像度を上げてどんな人が来ているかを考えてみたいと思います。
まず技能実習生ですが、これは圧倒的に地方から来る人が多いと思います。
これは仕組みの問題もあると思うのですが、人口の多い地方の地域から都市に人を集めて日本語教育を行い日本に送るという流れがこの10年程で出来上がったのでそのレールに乗って沢山の人が流れていっている状況だと思います。

そんな彼ら、彼女らにとって日本行きの費用は決して軽いものではありません。
親族からお金を集めて、場合によっては一つの村全てのお金を1人の若者に託して日本へ送り出すというような事もあります。
日本の受け入れ先からすると1人の外国人労働者なのかもしれませんが、その背中には村一つを背負っている可能性もあります。

ただ、クーデター以降は都市部出身の人の日本行きも増えたと思います。
私の会社で働いていた元部下も技能実習で何人か日本へ行きました。
複雑な想いではありますが、当時会社で日本語の勉強を推奨した事がこんな形で彼ら、彼女らの選択肢を増やせたのは良かったのかなと思っています。

これまでの地方からの日本行き希望者に加え、都市部からも若者が日本へ行くようになったのが在日ミャンマー人を更に増やすキッカケになったのは間違いありません。
更に、現在ミャンマーでは初等教育から高等教育全てが満足のいくように機能している状況ではありません。
その為、日本への留学を希望する人も増えています。
現在そんな日本留学希望の人たちをサポートする仕事もしているのでこのような若者が日本で問題なく知識や技能を身に着けていけるように応援し続けたいと思っています。

そして、今私が最も注目(心配)しているのが、いわゆる高度人材と呼ばれる人たちの日本での就職が困難な事です。
恐らくですが、ミャンマー側のエージェント(業者)としてはそういった高度人材より沢山の特定技能や技能実習の人を送った方が手っ取り早く利益を上げられるのでこういった高度人材に会社のリソースを割いていない状況なのではないかと推察しています。

本来であれば企業側の負担で日本まで行き、仕事に就くことが出来る人材が自ら安くない費用を様々使って日本に行かなければいけない。
中にはその費用負担がかなわずせっかくの人材が相応しい職場に着くことが出来ない。
これはミャンマーにとっても人材不足な日本にとっても大きな損失だと考えています。

昨年、これは運によるところが大きかったですが、知り合いのミャンマー人を1人、日本の優良企業へ紹介する事ができました。
本当にタイミングが良かったのと、ミャンマーを理解してくれる企業に巡り合えた事でうまくいった事例でした。
この時は完全にボランティアでやったのですが、もっと多くのこのような人材が日本で働いてもらうためにはビジネスとしてシステムを構築していく必要があると考え動いています。

いずれは全ての日本行きを希望する人たちが大きな負担なく日本で働ける日が来ると良いなと思っていますが、能力のある人にはいち早く日本へ行き、後からくる後輩たちを引っ張っていってもらいたいと考えて動いています。

日本でミャンマー人が起こす事件など問題が少なからずあることは超ミャンマー人贔屓の私でも当然知るところです。
しかし、その多くはヒューマンエラーよりシステムエラーが原因であることの方が多いと思っています。
つまり、仕組みをしっかり作ること、そして双方が納得のいくマッチングをしっかり行うことで多くの問題は解消されると思っています。

日本行きを希望するミャンマー人は日本を理解する為の努力を沢山しています。
それは現場にいる私が保証します。
しかし、ミャンマー人を受け入れる日本側のミャンマーへの理解の努力はどうでしょうか?
どうしても日本側がミャンマーを助けてあげているという形になりがちですが、たとえそうであったとしても相互理解は必須だと思います。

今足りないのは日本側のミャンマーへの理解だと強く感じています。
僅かではありますが、その一助となれるよう今日も頑張っています。
今後もミャンマー人材にご注目ください。
そしてこれからのミャンマーへ大きな期待を寄せてください。
引き続き私の活動にもご期待いただければ幸いです。

それでは、また明日。

 

Profile

著者プロフィール
新町智哉

映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。

Twitter:@tomoyangon
Instagram:tomoyangon
note:https://note.com/tomoyaan

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