中東紛争で原料枯渇、供給網混乱...アジアの企業・消費者、生活変化に警戒感
写真は韓国安山市のプラスチックフィルム工場。3月25日、安山市で撮影。REUTERS/Kim Hong-Ji
アジア各地の企業や消費者は、イラン情勢に起因するサプライチェーンの混乱で日常生活が一変し、さまざまな価格の高騰や供給不足が発生する事態に戦々恐々としている。その影響はビールからスナック菓子、麺類、玩具、化粧品まで多岐にわたるからだ。
多くの人々にとって、既に状況はひっ迫局面に入っている。
農家やテレビメーカーが使用するプラスチックフィルムを製造する韓国の工場を管理しているチョイ・グンスさん(57)は、複数の仕入れ先が原料価格を最大50%引き上げ、在庫を切らした仕入れ先もあると述べた。
「一部製品の原料が枯渇している以上、(工場の)機械を徐々に停止せざるを得なくなる。向こう1-2週間が山場になりそうだ」と明かす。
チョイさんは、この工場は過去の石油ショックやコロナ禍を乗り切ってきたが、今回の戦争がもたらす影響はかつてないほど甚大で、会社は生産量を通常のわずか20-30%に落としていると説明。「これほどひどい痛手は初めてだ。本当の激震に見舞われている」と語った。
サプライチェーン混乱の「震源地」は、イランが事実上封鎖しているホルムズ海峡で、普段は世界に供給される石油・液化天然ガス(LNG)の2割が通過する。
アジアは世界の他の地域よりも中東からの原油、ガス、燃料、肥料への依存度が高いだけに、こうした混乱に対する脆弱性も一番大きい。
現時点で最も深刻に不足しているのは、ナフサなどの石油派生品。ほとんどがペルシャ湾岸で原料を調達し、アジア全域の精製施設がプラスチックなどに加工して、ほぼ全ての工業製品に組み込まれている。
足元ではプラスチックやゴムといった現代生活に必須の一部製品の価格が過去最高水準まで跳ね上がってきた。
激辛で有名な即席麺ブランド「ブルダック」を製造する韓国のサムヤン・フーズは、紛争が長期化すれば包装素材が足りなくなり、コスト増大につながりかねないと懸念を示した。
ラーメンは通常、袋やカップ、またはどんぶり型容器で販売されており、世界で最も広く使用されているプラスチックの1つ、ポリエチレンテレフタレート(PET)に大きく依存する。PETは、食品からパーソナルケア製品に至るまで、他の多くの製品の包装にも不可欠だ。
ロレアルや、アモーレパシフィックを含む韓国コスメ企業向けに容器を製造するヨンウは、スキンケアや化粧品に使われる容器を製造するためのプラスチック樹脂の在庫確保に奔走中だ、とロイターに語った。6月以降の原材料調達見通しはほとんど立たなくなっているという。
ヨンウ幹部の1人は「問題は価格ではない。供給自体がなければ、容器なしでは製品を販売することなどできない」と話す。「在庫は備蓄しているが、それ以外に実質的な対策は取れていない。5月までに状況が解決することをただ願っている」
米国・イスラエルとイランの戦争で、世界各地において燃料が不足し、航空会社からスーパーマーケット、中古車販売事業者まで、さまざまな企業がコスト増大、需要減退、供給途絶といった難題への対応に追われている。
日本では高島屋が、危機が長引けば価格上昇と供給を巡る不安が衣料品や家電製品にまで波及する恐れがあるとの見方を示した。
今月には山芳製菓が、重油の調達が難しくなったとの理由で看板商品のポテトチップス「わさビーフ」の生産を一時停止した。






