韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南山」、そして「ヘル・コリア」ツアーへ
「南山」から人権の森へ
1995年、中央情報部から改組した国家安全企画部(現・国家情報院)がソウル市瑞草区に移転すると、「南山」はソウル市に移管された。市は使用できる建物は用途を変更し、老朽化した建物は撤去した。また建物が消失していた場所で、統監府の写真に写っている欅と安重根(アン・ジュングン)の師である林権介(イム・クォンジェ)像の台座が見つかり、統監府跡と推定した。
ソウル市は2013年、中央情報部の非人道的拷問を記憶して後世に伝える「人権の森」として整備することを決めたが、朴元淳(パク・ウォンスン)市政下の2016年、「日本軍慰安婦記憶の場」となり、慰安婦被害を伝えるダークツーリズムの目玉として利用した。
ところが2020年に朴元淳市長がセクハラ疑惑で自殺し、続いて慰安婦石碑を制作した作家もセクハラ容疑で起訴された。作家に有罪判決が下された2023年、市は加害作家が制作した慰安婦石碑を含む慰安婦関連構造物をすべて撤去し、当初の目的だった「南山人権の森」として再整備した。2021年には老朽化した6局の建物を撤去して南山芸場公園(Memorial 6)を整備している。
現代社会の矛盾を巡る「ヘル・コリア」ツアー
こうした韓国の近現代史がメインだったソウルのダークツーリズムだが、2025年にはさらに新たなツアーが登場した。外国人に「私教育1番地」と呼ばれる教育熱や高騰する住宅、美容整形外科や美容皮膚科などを紹介する「ヘル・コリア」ツアーである。
超学歴社会の韓国では就学前から私教育が行われ、就学児童や中高生は夜遅くまで複数の塾をハシゴする。帰宅後は塾から出された宿題に取り組み、疲れから学校で居眠りする生徒も少なくない。
高校を卒業した女子学生は美容整形外科を訪問する。就職や結婚で有利とされているからだ。さらには尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が非常戒厳令を発令した直後に起こった大規模デモを体験するツアー商品も現れた。
地方でも光州の民主化運動や済州4・3事件、朝鮮戦争の遺構が注目されるなど、韓国のダークツーリズムは日本統治下から現代史へとテーマが移ってきている。
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