給付型奨学金で進む教育の機会均等 沖縄では大学進学率の伸び率が全国水準を上回る
給付型ないしは貸与型の奨学金を利用している学生の割合は43.3%だが、地域による違いもある。東京都内の高等教育機関に通う学生だと34.4%で、全国値よりも低い。所得水準が高く、自宅から通えるためだろう。だが最も高い沖縄では68.2%、その次の青森では67.8%にもなる。所得水準が低く、奨学金を使わないと修学が難しい家庭が多いためと思われる。

<図2>は、これら1都2県について、種類ごとの利用率も分かるグラフにしたものだ。色付きが奨学金利用者だが、種類の内訳を見ると沖縄では給付型の利用者が最も多くなっている。全学生の4人に1人。他の県では類を見ない特徴だ。
近年、沖縄の大学進学率の伸び率は全国水準を上回っている。2024年春の大学進学率(18歳人口ベース)は54.6%で全国17位、九州内では最も高い。全国区の通信制高校ができたなどの理由もあるだろうが、給付型奨学金の効果とも言えるのではないか。
青森では貸与型が主流で、県内の学生の半数近く(48.3%)が借金をしている。沖縄と同様、給付型奨学金の対象となる経済状況の家庭は多いと思われるので、情報提供をもっと徹底する余地があるかもしれない。
長らく日本の奨学金は貸与型だけで、後から返させるローンと変わらないものであった。ようやく返還義務のない給付型、真の「スカラシップ」が導入され、少しずつ根付こうとしている。それが教育の機会均等に与するであろうことは、沖縄県の例が実証しているように思われる。





