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荒川河畔の「原住民」(25)

封建時代の「浪人」が現代のホームレスになった? 日本のホームレス史をたどる

2025年3月20日(木)11時05分
文・写真:趙海成


日本では『ホームレス』の数は年々減っており、2007年には1.8万人だったのが2024年には2800人になっています。国際比較でも日本のホームレスはかなり少ないほうであるのは確かでしょう。

ただし、日本におけるホームレスの定義はほぼ「路上生活者」を指します。この数は、公務員などが日中巡回して目視して数えたものです。ホームレスも日中は何らかの仕事をしている場合もあり、このカウントの仕方では捉え切れていない可能性もあります。

さらに日本の場合、貧困者の多くは「ネットカフェ」や「簡易宿泊所」などを利用しています。これも欧米などの基準で言えばホームレスに当たります。彼らは表に出る時は普通の身なりをしており、見た目で困窮者と判断するのは困難です。

つまり日本では、貧困・ホームレス問題が『不可視化』しており、路上生活者が少ないからと言って、貧困自体が一掃されているわけではないのです。

この読者の言うとおり、住む場所がなかったり、家出をしていたりして、ネットカフェに泊まっている人は多い。私が最近取材した生活保護で暮らしている人は、家主にアパートを追い出されてから福祉施設に入るまでの期間、ネットカフェに住んでいた。本来なら、その時の彼も「ホームレス」だと言えるだろう。

1カ月前に大阪から上京してきた若者にも会ったが、これまで仕事が見つからず、自分が持ってきた小さなテントに住んでいると話していた。

彼らのような「新人」貧困者やホームレスは、現在も現れている。日本にとって、貧困問題を撲滅するのは、まだ「任重而道遠」(任が重くて道が遠い)である。


(編集協力:中川弘子)


[筆者]
趙海成(チャオ・ハイチェン)
1982年に北京対外貿易学院(現在の対外経済貿易大学)日本語学科を卒業。1985年に来日し、日本大学芸術学部でテレビ理論を専攻。1988年には日本初の在日中国人向け中国語新聞「留学生新聞」の創刊に携わり、初代編集長を10年間務めた。現在はフリーのライター/カメラマンとして活躍している。著書に『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』(CCCメディアハウス)、『私たちはこうしてゼロから挑戦した──在日中国人14人の成功物語』(アルファベータブックス)などがある。


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