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まさに「棚ぼた」の中国...韓国「戒厳令」がもたらした「恩恵」とは?

How China benefits from chaos in US-allied South Korea

2024年12月6日(金)10時35分
マイカ・マッカートニー

「とんでもない職権乱用」

米シンクタンク「スティムソン・センター(Stimson Center)」の上級研究員で北朝鮮分析サイト「38ノース」のディレクターでもあるジェニー・タウンは、尹が政治的利益のために非常戒厳を利用したことについて、自由民主主義の価値観を強く支持する国としての韓国の評判を傷つける「とんでもない職権乱用」だったと指摘。

また彼女は、アメリカ政府が尹の行動を強く非難しなかったことを批判した。


 

「今回の騒動を中国や北朝鮮のような国のプロパガンダの『勝利』と呼ぶのは大げさかもしれないが、今回の件が今後これらの国に利用される可能性はある。たとえば中国や北朝鮮が、周辺地域の真の『混乱の主軸』はどの国だろうかと問いかけるような筋書きが考えられる」と彼女は本誌に述べた。

「混乱の枢軸」とは、外交政策分析において中国、ロシア、北朝鮮とイランによる反欧米的な協力を指す意味で使われる言葉だ。

尹の前任者である文在寅(ムン・ジェイン)は外交において、特に北朝鮮との対話・関与に重点を置いていたが、尹の外交政策はその路線から外れている。

尹に批判的な者たちは、尹が韓国を外交的に孤立させ、紛争のリスクを高めていると非難している。

野党は4日、尹を弾劾訴追すべき理由を詳しく述べた声明の中で、「いわゆる『価値観に基づく外交』の名の下で、尹政権は北朝鮮、中国やロシアを敵に回し、日本中心の外交政策を好んできた」と指摘。

また尹が親日的な見解を持つ人物を政府の要職に任命したことを批判した。

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