最新記事
北朝鮮

北朝鮮、衛星打ち上げに失敗 通告期間内の挑発行為に警戒と日本政府

2024年5月28日(火)09時44分
ロイター

5月27日、日本政府は全国瞬時警報システム(Jアラート)で、北朝鮮から発射された可能性があるとしていたミサイルが日本に飛来しないとみられるとして、沖縄県を対象とした避難の呼び掛けを解除した。写真は23年11月、Jアラートを伝えるテレビ画面。(2024年 ロイター/Issei Kato)

北朝鮮は27日夜、2基目となる軍事偵察衛星を打ち上げたものの、空中で爆発して失敗した。朝鮮中央通信は、新開発の液体燃料エンジンに原因があった可能性があるとする当局者の発言を伝えた。沖縄県に避難を呼び掛けた日本政府は、6月4日午前0時までの打ち上げ通告期間内に追加の挑発行為があるとみて警戒を続けている。

朝鮮中央通信は、「衛星を積んだ新しいロケットの打ち上げは、第一段階の飛行中に空中で爆発して失敗した」とする北朝鮮当局者の発言を伝えた。新たに開発した液体燃料ロケットエンジンが原因の可能性があるものの、他の要因についても調査を進めているとした。

韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は27日午後10時44分に北西部沿岸の東倉里から飛翔体を発射。日本政府は午後10時46分に全国瞬時警報システム(Jアラート)を発出したものの、ミサイルが飛来する可能性はなくなったとして午後11時03分に避難の呼び掛けを解除した。

 

日本の林芳正官房長官は会見で、「北朝鮮が衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を強行したが、黄海上空で消失した」と語った。宇宙空間に物体は投入されていないとみらえるとした。日本は北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議した。

韓国軍は、発射から2分後に多数の破片を海上で探知したとしている。

北朝鮮は27日未明、6月4日午前0時までに人工衛星を打ち上げると日本の海上保安庁に通告。ロケットが落下する可能性がある海域として、黄海の2カ所とフィリピンのルソン島東方の海域を指定した。

打ち上げを受けて28日未明に会見した木原稔防衛相は「失敗した可能性を含めて詳細は日米韓で分析中」だと述べた。「通告期間内にさらなる挑発行為に出る可能性はある」として、警戒に万全を期す考えを示した。

日中韓は同日に3カ国首脳会談を開き、岸田文雄首相と韓国の尹 錫悦大統領は打ち上げの中止を呼び掛けていた。

北朝鮮は昨年11月、初の偵察衛星を打ち上げたと発表。今年さらに3基を打ち上げる計画を明らかにしていた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ヤム・ブランズ、ピザハットの売却検討 競争激化で

ワールド

EU、中国と希土類供給巡り協議 一般輸出許可の可能

ワールド

台風25号がフィリピン上陸、46人死亡 救助の軍用

ワールド

メキシコ大統領、米軍の国内派遣「起こらない」 麻薬
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【HTV-X】7つのキーワードで知る、日本製新型宇宙ス…
  • 10
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中