最新記事

アフガニスタン

6カ月以内? 欧米施設へのテロ攻撃は忘れた頃にやってくる

2023年3月31日(金)16時12分
マイケル・クーゲルマン(フォーリン・ポリシー誌)

初期のIS-Kは民間人を標的にしていた。特にハザーラ人などの宗教的少数派に対する攻撃は悪名高い。タリバンの政権奪取後は、その権力基盤を弱体化させるため彼らへの攻撃を強めた。

一方で民間人への攻撃も続けているが、その狙いは国内に平和と安定を回復させたというタリバンの主張を突き崩し、政権の正統性を弱めることにある。

タリバンの政権奪取と米軍撤退は、IS-Kに有利に働いたようだ。その過程で生まれた混乱の中で、400人以上の外国人を含む数千人のIS-Kの戦闘員が刑務所から出獄した。

旧アフガン政府軍の崩壊とNATO軍撤退のおかげで空爆の脅威から逃れることもできた。空軍力をほとんど持たないタリバンは地上での攻撃に頼っているが、一般市民の怒りを買うだけでIS-Kの抑え込みには成功していない。

アフガニスタンの深刻な人道危機もIS-Kにとって追い風だ。経済的苦境にあえぐ人々やタリバンへの復讐に燃える人々は、戦闘員勧誘のターゲットになる。

既に旧政府の治安部隊がIS-Kに参加したという情報もある。内戦後の生活にうまく適応できない元タリバン兵がIS-Kに乗り換える可能性もある。

今のところ被害の大半は国内にとどまっている。クリラの警告がどこまで正確かもまだ分からない。それでもISと関連組織の脅威を過小評価すべきでないのは確かだ。

バイデン米大統領は米軍の撤退以来、IS-Kにほとんど言及していない。だが過去の例を見れば分かるように、彼らを軽視してはならない。

From Foreign Policy Magazine

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米石油・ガス業界のM&A、第1四半期は過去最高の5

ビジネス

米テスラ、メキシコ・インドの工場新設計画が不透明に

ビジネス

午前の日経平均は大幅続伸、ハイテク強い 先物主導で

ビジネス

今期事業計画はかなり保守的=永守ニデックグループ代
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 8

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中