最新記事

ウクライナ戦争

ロシア兵が仲間を「シャベルで処刑」の動画拡散...見せしめ、使い捨てのため処刑蔓延か

2023年2月10日(金)20時48分
ヤスミン・ティンワラ
ロシア傭兵組織ワグネルの兵士

Bakhmut News/Telegram

<ウクライナ側のドローンが捉えた映像には、傷ついた司令官とみられる人物に激しい暴力を加えるロシア兵たちの姿が>

ロシア軍の兵士たちが、重傷を負った仲間に大きなシャベルを使って暴行を加えているとみられる様子を捉えた動画が公開された。これは2月上旬、ウクライナのセネカ特殊部隊がドローンを使って撮影したもので、ソーシャルメディア上で共有された。

■【動画】味方の司令官とみられる男性に、ロシア兵たちがシャベルで殴りかかる瞬間

この「集団暴行」が起きたのは、ウクライナ東部ドンバス地方にあるバフムトの郊外で、英ガーディアン紙は、暴行を受けていた負傷兵は「ワグネル」の司令官とみられると報じている。ロシアの傭兵組織であるワグネルは、2021年2月にロシアがウクライナに軍事侵攻を開始して以降、ロシア軍を支援している。

動画には、ワグネルの傭兵4人が負傷した司令官の手足を持って前線から離れたところに移動させ、その後、倉庫の近くで足を止めて司令官を乱暴に地面に投げ出す様子が映っている。別の動画には、3人の男がシャベルを使って負傷兵にひどい暴行を加えている様子が映っている。いずれの動画にも、暴行の前後の状況は映っておらず、司令官とみられる男性がその後どうなったかは不明だ。

これと同じようなことが昨年にも起きていた。ワグネルの傭兵がハンマーで処刑される様子を捉えた動画が、インターネット上に出回ったのだ。ワグネルの創設者で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の盟友でもあるエフゲニー・プリゴジンは当時、この動画について言及し、処刑された人物はウクライナ側に寝返った「裏切り者」だと認めた。

予定の進軍ルートを外れれば「即刻処刑」

このときに処刑されたエフゲニー・ヌジンは10月11月、(ロシア軍に)拉致されていた。動画には、彼がレンガの壁に体を固定され、ハンマーで殺害される様子が映っていた。ロイターが検証したこの動画についてプリゴジンは、「犬には犬死にがふさわしい」と述べた。

ある報告によれば、ワグネルの傭兵は割り当てられた攻撃ルートを外れれば「即刻処刑」されるおそれがある。英国防省が昨年12月19日にウクライナ情勢について投稿したツイートによれば、(ロシア側の)戦闘員にはスマートフォンやタブレットが支給され、これらのデバイスには各自の「進撃ルートや攻撃目標が衛星画像に重ねて表示される」ようになっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、軍事演習で戦術核兵器の使用練習へ 西側の挑

ワールド

再送イスラエル軍、ラファ空爆 住民に避難要請の数時

ワールド

再送イスラエル軍、ラファ空爆 住民に避難要請の数時

ワールド

欧州首脳、中国に貿易均衡と対ロ影響力行使求める 習
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 3

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 6

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 7

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 10

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中