最新記事

ツイッター

マスク体制のツイッターから離れるセレブたち 「元カノ」は去り、ホラー小説の帝王は激怒した

2022年11月6日(日)11時05分
千歳香奈子

また、2016年から2年ほどマスクと交際していた女優アンバー・ハードは、買収が完了した直後に無言で突如アカウントを削除。ツイッターをやめた理由は不明だが、元夫で俳優のジョニー・デップとの泥沼離婚裁判を巡ってヘイトスピーチを受け続けてきただけに、タイミング的にみて「言論の自由」の保証を進めるマスクが買収したことへの反発だと推察されている。

ヘイトスピーチの増加を巡っては他にも、NBAロサンゼルス・レイカーズのスター選手レブロン・ジェームズが、マスクが経営権を握って以降、黒人に対する差別用語のツイートが500%増加したとする投稿を引用し、不安をつづっている。

「私はイーロン・マスクを知らない。でも、これが本当なら彼と彼の部下はこれを非常に真剣に受け止めてくれることを願う。非常に恐ろしい。ヘイトスピーチが言論の自由だと主張する酷い奴が多すぎる」と強い懸念を示している。

ホラー小説の帝王も激怒

企業や著名人のアカウントが本物であることを示す通称「青バッジ」と呼ばれる認証マークの有料化案を巡って対立姿勢を露わにする著名人もいる。

約700万人のフォロワーを持つホラー小説の帝王スティーヴン・キングは、"Fワード(Fで始まる汚い禁句ワード)"を交え「20ドル払えだと? ふざけるな。お前がこっちに払え」とツイート。経営不振に陥って巨額の負債を抱えて倒産した世界最大のエネルギー販売会社エンロン社の名を出し、「エンロンのように去る」とつぶやいた。

その後も、マスクがCEOを務める電気自動車テスラを販売開始直後に手に入れたが、その後別の車に乗り換えたとツイートし、「素晴らしい車だが、私には自動運転システムはいらない。ツイッターでも同じことが言える」などとツイートし、マスクの運営方針を批判し続けている。

セレブの離脱のみならず、ウォール・ストリート・ジャーナル紙や米自動車大手ゼネラル・モーターズ、大手食品会社ゼネラル・ミルズなど一流企業の間でもツイッターでの広告を一時停止する動きが加速しており、脱ツイッターの勢いは止まりそうにない。

買収からもうすぐ2週間が経とうとしているが、ツイッターが今後どう変わっていくのか、現在も多くの著名人や企業が固唾を呑んで見守っている。

【画像】マスク体制のツイッターに別れを告げるセレブたち

[筆者]
千歳香奈子
北海道・札幌市出身。1992年に渡米し、カリフォルニア州サンタモニカ大学で写真を学ぶ。96年アトランタ五輪の取材アシスタントとして日刊スポーツ新聞社アトランタ支局に勤務。ロサンゼルス支局、東京本社勤務を経て99年よりロサンゼルスを拠点にハリウッドスターら著名人へのインタビューや映画、エンターテイメント情報等を取材、執筆している。日刊スポーツ新聞のサイトにてハリウッド情報や西海岸のトレンドを発信するコラムも寄稿中。著書に『ハリウッド・セレブ』(学研新書)。

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む

ビジネス

SOMPO、農業総合研究所にTOB 1株767円で

ワールド

中国、米国の台湾への武器売却を批判 「戦争の脅威加
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中