最新記事

リモートワーク

コロナ収束の近未来に、確実に勃発する「リモートvs出社」バトル

WE'RE HEADED FOR A REAL CLASH

2021年6月24日(木)11時41分
ポール・キーガン(ジャーナリスト)
人が少ないオフィス(イメージ画像)

DIMITRI OTIS-STONE/GETTY IMAGES

<出社勤務を再開したい企業と、部分的にでもリモートワークを続けたい従業員の激しい綱引きが始まった>

新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、全米でマスク着用などのルールが緩和されるなか、企業はリモートワークから出社勤務へ切り替えを本格化しつつある。

本来なら、「コロナ前の日常が戻ってきた」と希望を感じさせてくれるはずの措置だが、オフィスワーカーの間では戸惑いが広がっている。

まだ感染不安を拭えない人もいれば、子供のオンライン授業が続いているため家を離れられない人もいる。在宅勤務の柔軟性を味わった今、9時から5時までのオフィス勤務には戻りたくないと考える人もいる。

会社と従業員の希望のギャップがどのように解決されていくかは、これから数カ月だけでなく、長期的な雇用の在り方に影響を与える可能性があると専門家は指摘する。

なにしろ今年初めの時点では、海ほど大きなギャップがあった。米ベストプラクティス・インスティテュートの調べによると、経営者の83%は出社勤務を再開したいと考えていたが、フルタイムの出社勤務を希望する従業員は10%だったのだ。

「これは大きな火種になるだろう」と、人材コンサルティング会社コーン・フェリーのメリッサ・スウィフトは語る。「オフィスワーカーの間では、ほとんどの仕事はリモートでできることが証明されたという認識がある。だが、経営幹部はそうは思っていない。両者の希望は真っ向から衝突するだろう」

感染リスクへの懸念が残る

職場の安全は大きな懸念事項だ。アメリカではジョー・バイデン大統領の猛プッシュにより、4月19日以降、全成人がワクチン接種を受けられるようになった。

しかし集団免疫に必要とされる接種率70%を達成するのはまだかなり先になりそうだ。6月初めの時点では、アメリカ人の半分近くがまだ1回もワクチン接種を受けておらず、2回の接種を終えた人は42%にとどまっている。

新たな変異株の不安もある。オフィスのデスクの間隔を空けてアクリル板を設置し、就業スケジュールに余裕を持たせても、従業員の66%は会社での感染リスクを心配していることが、オフィス管理アプリ「エンボイ」と市場調査会社ウェイクフィールド・リサーチが2月に行った共同調査で明らかになった。

この調査では、感染不安は全くないと答えた人は13%しかいなかった。また回答者の62%は、企業は出社勤務する従業員にワクチン接種を義務付けるべきだと考えていた。さらに同じ割合の人たちが、マスクの着用義務などの感染拡大防止措置を、企業が時期尚早に緩和するのではないかと懸念している。

ジェイミー・ヒッキー(42)もそんな懸念を抱く1人だ。シングルファザーのヒッキーには9歳と6歳の娘がいるが、学校はまだ週3日はオンライン授業だ。ヒッキーはペンシルベニア州のオフィス家具会社の現場監督で、4月15日からフルタイムで職場復帰するよう連絡を受けた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送フーシ派がイスラエル攻撃、イエメンの親イラン武

ワールド

再送-UAEのアブダビで5人負傷、火災も発生 ミサ

ワールド

タイ新政権、来週発足へ アヌティン首相が表明 

ビジネス

中国の大手国有銀3行、25年の利益ほぼ横ばい 不動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?...「単なるホラー作品とは違う」「あの大作も顔負け」
  • 2
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 3
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のSNS動画が拡散、動物園で一体何が?
  • 4
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 5
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 8
    ウィリアム皇太子が軍服姿で部隊訪問...「前線任務」…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    「酷すぎる...」ショッピングモールのゴミ箱で「まさ…
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 9
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 10
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中