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米中対立

アメリカも対中戦争を考えていない?──ポンペオ演説とエスパー演説のギャップ

2020年7月29日(水)19時45分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

コロナ対策で失敗し、今や累計430万人ほどのコロナ感染者を出し、毎日(24時間で)4万から多い時には7万人の新規感染者が出ているという、想像もできないような絶望的状況にアメリカはある。何とかコロナによる打撃から這い上がり経済を回復させようとしているが、それをすればするほど感染者は爆発的に増え、経済復興は遠のいていく。

このままではトランプの大統領再選は望み薄となりつつある。

そこで、せめて「外交」で点数を稼ごうと、「テキサス州のヒューストンにある中国総領事館の閉鎖命令を出す」という挙に出たわけだ。

これにより大票田テキサス州の票がトランプに流れることを祈願しての動きであることは、非常に分かりやすく見えてくる。

筆者としては、もちろんポンペオを含む「反共四騎士」の効果があることを祈ってはいるが、しかしボルトン暴露本が出たばかりなので、「さあ、すごいぞ!ポンペオがこんな歴史的演説をしたぞ!」ともろ手を挙げて「はしゃぐ」気持ちにはなかなかなれない。

エスパー国防長官がリモート講演で「年内に中国を訪問したい」

その釈然としない気持ちを加速させるのがエスパー国防長官のリモート講演である。

まさにテキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を命令した同じ日の7月21日、エスパーはイギリスのシンクタンク国際戦略研究所のリモート講演で、「中国人民解放軍は東シナ海や南シナ海で攻撃的な行動を続けている」とか「中国の指導者に、中国と中国国民が長年にわたって多大な恩恵を受けてきた国際法と規範を順守することを求める」などと述べたものの、「私は紛争を求めていない」と強調した。

その上で、「年内に中国を訪問したい」と締めくくったのである。

エスパーと言えば、5月末にアメリカであった白人警察による黒人男性殺害によって引き起こされた大規模抗議デモで、トランプが「いざとなったら軍の投入も辞さない」と発言したことに対して堂々と反旗を翻した閣僚の一人だ。現役の国防(軍)のトップとして彼は「法執行の任務のために現役部隊を動員する選択肢は、最後の手段に限られるべきだ」とトランプ発言を批判した。

もともとエスパーはブッシュ元大統領に抜擢されており、ブッシュ派閥とトランプは仲が悪い。

しかしブッシュ・ファミリーは一族で合計10個近くの軍の勲章を授与されるなど、長年にわたって米軍に対して絶大な影響力を持っている。

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