最新記事

投資

ビットコインのために自宅を担保にするバカ、米当局が警告

2017年12月12日(火)16時30分
アーロン・マク

マイホームをリスクにさらしてビットコインを買う人が増えている Bychykhin_Olexandr/iStock.

<ハイリスクのビットコインを買うために自宅を担保に借金をするなんて、シートベルトなしでジェットコースターに乗るようなものだ>

仮想通貨「ビットコイン」の価格が年初に1000%超も急騰し、12月10日には世界最大の先物取引所CBOE、年内には世界屈指のデリバティブ取引所運営会社CMEグループが相次いでビットコインの先物取引を始めて権威と信任を与えたことで、ビットコインに新たな投資家が殺到している。なかには、期待先行でかなりのリスクを取っているケースも見られる。

ビットコイン・ブームが本物なのは間違いない。12月7日には、アメリカ最大のビットコイン取引所コインベース(Coinbase)のアプリが、アップルのアップストアでダウンロードランキング1位に輝いた。12月はじめのダウンロード数は57万5000回を超え、アクセス急増のためコインベースではログインやその他の機能の障害が起きた。グーグル検索では「クレジットカードでビットコインを購入する」というフレーズの検索数が史上最高に近くなっていると、米投資情報チャンネルCNBCは指摘した。12月に入ってからのビットコイン価格の急騰をみれば、この狂騒ぶりも驚くにあたらない。

【参考記事】2017年は中流でもビットコインを買える最後の年になる!?
【参考記事】1億ドルのビットコインを間違って捨てた男 世界では300億ドル分が紛失

北米証券監督者協会(NASAA)のジョゼフ・ボルグ会長によると、ビットコインの急成長を見た投資家たちは今や、価格変動が激しく不安定なこの仮想通貨を買うため自宅を担保にした借金をし始めているという。

年収10万ドルでも身の程知らず

規制当局は、そうした行動は個人資産を危険にさらしかねないので慎むよう呼び掛けている。ボルグはCNBCに対し、「ビットコイン投資は、年収10万ドルで、住宅ローンと大学生の子供が2人いるような人が手を出すべきものではない」と述べた。

ほかの著名な専門家からの警告も相次いでいる。ワシントン・ポストの資産運用担当コラムニスト、ミシェル・シングルタリーは12月11日、「老後の資金作りでビットコインに投資していいのは、シートベルトをせずにジェットコースターに乗れる人だけ」と題した記事を投稿した。ビットコイン取引は「投資というよりギャンブルに近い」と、投資は損しても困らないお金だけに限るよう促した。

仮想通貨取引所シェイプシフトの最高経営責任者(CEO)エリック・ブアヒーズも、こうツイートしている。「仮想通貨を大量に保有し、さらに多額の借金も抱えているなら、仮想通貨が記録的な高値のうちに売り払い、借金を返済する(できれば完済する)ことを考えるべきだ。借金をしてまで今の価格で仮想通貨を買ってはいけない」。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ政権、予算教書を公表 国防以外で1630億

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、堅調な雇用統計受け下げ幅縮

ワールド

トランプ氏誕生日に軍事パレード、6月14日 陸軍2

ワールド

トランプ氏、ハーバード大の免税資格剥奪を再表明 民
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単に作れる...カギを握る「2時間」の使い方
  • 4
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 5
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 6
    宇宙からしか見えない日食、NASAの観測衛星が撮影に…
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 9
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 10
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 10
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中