最新記事

経済制裁

ロシアから燃料密輸? 北朝鮮船、行き先変更など「疑惑の航路」

2017年9月22日(金)16時09分

ロイターは、マドゥサン号が貨物を積んだ際に発行された船積書類の「船荷証券」を入手した。5月19日付で、カーゴはIPCが所有するハバロフスキーNPZ精製所から来ていた。

同船は、5月20日に出港。ロシアの港湾当局に提出した書類によると、次の寄港地は中国の湛江市の予定だった。船荷証券には、韓国の釜山港と記載されていた。

だが、ウラジオストク出港後、次に記録が残っているマドゥサン号の寄港位置は、北朝鮮の金策港内だった。

他の船は全て、港の周辺付近までの記録しか残っていなかった。北朝鮮の船舶は、断続的に無線中継機を切るため衛星で追跡できなくなると、米政府関係者は語る。

米財務省が実行した2つの制裁措置の関連文書や、米政府が申し立てた訴訟1件に含まれる、違反行為をした疑いのある船舶は、船舶名の記載はないものの、ロイターが入手したマドゥサン号の情報と一致する。

制裁ブラックリスト

米財務省は6月、北朝鮮に石油を供給し、制裁逃れに加担した疑いがあるとして、ロシアのIPCを制裁対象に追加した。

米政府は8月、シンガポールに拠点を置く「トランスアトランティック・パートナーズ」と「ベルミュール・マネジメント」の2社も制裁対象に指定した。

米司法省は同日、両社を提訴。石油調達を試みていた制裁対象の北朝鮮銀行に代わって、マネーロンダリングを行ったと指摘した。根拠として、IPCがベルミュールに販売し、ウラジオストク港で船に積まれたディーゼル燃料の記載がある5月19日付の船荷証券をあげている。これは、マドゥサン号の船荷証券と同じ日付だ。

トランスアトランティック・パートナーズのアンドレイ・セルビン氏によると、同社は制裁対象の銀行から代金は受け取っておらず、燃料の所有権は船へ積み込まれた後に変更されたと述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

郵送投票排除、トランプ氏が大統領令署名へ 来年の中

ビジネス

ノルウェーSWF、ガザ関連でさらに6社投資除外

ワールド

ゼレンスキー氏、ロシアの「冷酷な」攻撃非難 「訪米

ワールド

イラン、協力停止後もIAEAと協議継続 「数日中に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に入る国はどこ?
  • 4
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 5
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 6
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    40代は資格より自分のスキルを「リストラ」せよ――年…
  • 9
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 10
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中