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トランプが特別検察官ムラーを恐れる理由

2017年6月27日(火)18時16分
マックス・ブート (外交問題評議会シニアフェロー、国家安全保障が専門)

そうした報道は断片的であれ、証拠が不十分であれ、「自分はロシアと全く関係ない。借金もない。取引もない」と言ってきたトランプをあざ笑うものだ。

トランプと確実に取引をしていたのは、ロシア系アメリカ人ビジネスマンのフェリックス・セーターだ。マフィアが絡む株式詐欺である男を恐喝し顔を刺した前科のある男だ。セーターはその後、不動産会社ベイロック・グループを立ち上げた。ベイロックはトランプタワーのなかにあり、トランプオーガニゼーションと共同でトランプソーホーホテルなどを建設している。

トランプをずっと追いかけてきたブルームバーグのティモシー・オブライエンによれば、ジョディ・クリスというベイロックの元社員は、「ベイロックが実際はマネーロンダリングのための隠れみのだとわかったので辞めた」と言っていたという。

また1990~2002年ごろまでトランプオーガニゼーションでトランプの右腕だったエイブ・ワラシュという元社員は、「たくさん金があって取引をしたがっていれば、探さなくてもトランプは向こうから表れる。ドナルドは資産評価などしない。直感と相手の遺伝子が頼りなんだ」

こんな環境でこれまでビジネスをしてきたとしたら、ボブ・ムラーの捜査など受けたいだろうか。トランプがコミーに続いてムラーも解任しようとしたと言われるのも無理はない。


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