最新記事

北朝鮮

中国は米国に付くと北朝鮮を脅したか?――米朝戦争になった場合

2017年4月17日(月)11時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

米中首脳会談後、別荘を散策するトランプ大統領と習近平国家主席 Carlos Barria-REUTERS

12日の米中首脳電話会談以降のトランプ氏の言動を見ると、追い詰められた習主席が「中国が北朝鮮を脅して暴走を止めてみせる」と約束した可能性がある。中朝軍事同盟がある中国に残された有効なカードは少ない。

米側の動き――中国を為替操作国から外した

4月12日、習近平国家主席がトランプ大統領に電話をして、朝鮮半島の非核化を堅持するとした上で、「北朝鮮問題に関して平和的解決を」と訴えたと中国メディアは報じたが、絶対に公開できない水面下の情報があったはずだ。

そう判断する理由はいくつかある。

まず同日、トランプ大統領は米紙ウォールストリート・ジャーナルの取材を受けて、「米財務省が近く公表する為替報告書で、中国を為替操作国に認定しないだろう」と回答している。中国政府の通信社「新華社」の電子版「新華網」や中央テレビ局CCTVなどが大きく伝えた。

トランプ氏は大統領選中から、中国は米国市場での輸出競争力を高めるために人民元の対ドルレートを低く操作していると断言し、大統領就任初日には、中国を為替操作国に断固認定すると公約していた。

それが一転したのには、トランプ大統領が、「私に対する信頼が高すぎるためドルが強すぎる」としてドルに対する姿勢を軟化させたことも背景にはあろうが、別の深い理由があったにちがいない。

なぜなら、ウォールストリート・ジャーナルの取材に対して、トランプ大統領は7日の米中首脳会談で習近平国家主席に、おおむね以下のような話をしたことを明かしているからだ。

――私(トランプ)は現在のような対中貿易赤字が続くことを望んでいない。もし、あなた(習近平)も貿易でビッグなディール(big deal、大口取引)を望んでいるなら、北朝鮮問題を解決することだ。北朝鮮問題を解決してくれさえすれば、私は貿易赤字を甘受することができる。

そして「なぜ中国を為替操作指定国とするとした公約を撤回したのか」というウォールストリート・ジャーナルの記者の質問には、

――もし今、中国を為替操作国に指定すれば、北朝鮮の脅威に関する(米中間の)対話が危うくなる。今は北朝鮮問題の協力に集中する方が、為替操作国に関する公約を守るよりも、ずっと重要だからだ。

と、トランプ大統領は回答しているのである。こんなことまで明かしてしまっていいのだろうかと思うほど、舞台裏をペラペラと話してしまった。

これだけではない。トランプ大統領は「習近平は実にいい奴だ。彼とは気が合う(chemical reaction=化学反応がいいという意味のchemicalという言葉を何度も使った)。(北朝鮮問題に関しては)彼なら必ずうまくやってくれると信じる」という主旨のことまで言って、習近平を褒めそやしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏の機密文書持ち出し事件、米地裁が報告書公

ビジネス

米製造業新規受注、12月は前月比0.7%減 民間航

ワールド

ウクライナ再建費用、5880億ドルと試算 GDPの

ワールド

欧州議会、米との貿易協定承認を延期 追加関税措置を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 3
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面を突き破って侵入する力の正体が明らかに
  • 4
    ペットとの「別れの時」をどう見極めるべきか...獣医…
  • 5
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 6
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 7
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 5
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 8
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 9
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 10
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中