最新記事

入国禁止令

入国禁止令、トランプ「敗訴」でひとまず混乱収拾へ

2017年2月6日(月)19時00分
ニコラス・ロフレド、ハワード・スウェインズ

大統領令で一時アメリカに戻れなくなったイラン人留学生。ロサンゼルスの空港に無事到着し、姉と抱き合う Brian Snyder-REUTERS

<入国禁止令を一時差し止めた連邦地裁の判断にトランプは猛反発。取り消しを求めた控訴裁判からも却下され、突然の大統領令により世界各地で足止めを食っていた人々も無事入国し始めた。だが、テロから国家を守るための国境管理は政府の権限だとするトランプと、国境での差別的な扱いや独断の決定は違憲という司法との戦いはこれからだ>

米連邦控訴裁判所は4日夜、イスラム教徒が多数を占める中東・アフリカの7カ国の国民や難民の入国を一時禁止するドナルド・トランプの大統領令の一時差し止めを命じたワシントン州シアトル連邦地裁などの決定を不服として、取り消しを求めていたトランプ(米司法省)の上訴を却下した。

「大統領令の差し止めを命じた連邦地裁の仮処分を認め、控訴人の訴えを却下する」と、サンフランシスコ控訴裁が決定した。

控訴裁は改めて審議することを決め、大統領令を違法で違憲として訴えた連邦地裁は5日深夜までに、司法省は6日午後までに、新たな証拠を提出するよう求めた。地裁と控訴裁の決定により、少なくとも審議中は大統領令の差し止めが続くことになり、7カ国の国民も難民もアメリカに入国できるようになった。

【参考記事】トランプvsアメリカが始まった?──イスラム教徒入国禁止令の合憲性をめぐって

「渡米は今回が初めて。来週のフライトを予約していたが、裁判所の決定を聞いて前倒しした」と、最近アメリカ人男性と結婚したイエメン国籍の女性は語った。5日の夜にエジプトのカイロからトルコ経由でアメリカ行きのフライトに乗ったという。

法の番人を侮辱

トランプ政権は、大統領令の効力を一時停止させたシアトル連邦地裁のジェームズ・ロバート判事の3日の判決を不服として、争う姿勢を見せてきた。先月27日に署名した大統領令は、イスラム教徒が多数を占める7カ国の国民の入国を90日間停止し、難民の受け入れを120日間凍結、シリア難民の受け入れを無期限で停止する内容。トランプは4日、入国禁止を無効にした地裁の決定を批判し、法の番人に対して「判事とやら」と侮辱的な呼びかけをし、その意見は馬鹿げているツイッターで個人攻撃を連発した。

【参考記事】トランプ政権の中東敵視政策に、日本が果たせる役割

関係省庁や旅行者への事前通知なしに発効した大統領令をめぐっては、全米で差し止め請求の訴訟が起きるなど1週間にわたって混乱が続いたが、4日の控訴裁の決定により入国管理手続きは大統領令以前の状態に戻った。関係省庁は同日、ロバート判事の決定に従うとした。国土安全保障省は、大統領令に伴う全ての措置を停止。国務省も声明で、対象となった7カ国で有効なビザを持つ国民は入国させると発表した。

訴えを棄却されたトランプは、控訴裁の決定についてツイッターで、「誰を入国させるかさせないか、安全上の理由があっても国が決められないというのは大問題だ」と批判。地裁判事のロバートも再びやり玉に挙げ、「国から法律執行権を奪う"判事とやら"の意見はバカげている、必ず覆されるだろう」とツイートした。

【参考記事】難民入国一時禁止のトランプ大統領令──難民の受け入れより難民を生まない社会づくりを

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国首相、フォーラムで一段の経済開放約束 日本企業

ワールド

G7、エネ供給支援へ必要な措置講じる用意 外相声明

ワールド

トランプ氏、米空港にICE捜査官派遣と警告 予算巡

ワールド

トランプ氏、イランに48時間以内のホルムズ開放求め
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 3
    メーガン妃、親友称賛の投稿が波紋...チャリティーの場でにじんだ「私的発信」
  • 4
    BTSカムバック公演で光化門に26万人、ソウル中心部の…
  • 5
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 6
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 9
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 10
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中