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米大統領選

メール問題、FBIはクリントンの足を引っ張ったのか?

2016年10月31日(月)18時40分
カート・アイケンバウム

 コミーが28日に米連邦議会の上下両院8委員会に送った書簡によると、彼が新たなメールの存在を知ったのは前日の27日だったという。彼がすぐ公表に踏み切ったのは誤った判断とはいえ、共和党に肩入れしたからではない。彼は9月に議会で「捜査が完了し、訴追に相当しない」と証言しており、新たな捜査について告知を怠れば偽証になってしまう。その結果、コミーは議会に対して出来るだけ早く以前の証言を修正し、捜査を進める義務があると考えたのだ。

 だがコミーの判断は結果として、政治的に中立というFBIの評価を傷つけたかもしれない。FBIの職員へのメモで、コミーは議会への手紙を「針の穴を通すような」際どい技だったと言った。進行中の捜査についての詳細は明かさずに自らの証言を訂正しなければならないからだ。だがそれによって、コミーの発表は政治家たちに勝手に色づけされて噂だけが独り歩きすることになってしまった。

 真実の一部だけを明かして残りは隠そうとしたことで、コミーは大統領選の帰趨を左右しかねない誤解を招いた。もしこれを正さなければ、FBIの歴史でも最悪の汚点として記憶されかねない。


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