最新記事

米大統領選

メール問題、FBIはクリントンの足を引っ張ったのか?

2016年10月31日(月)18時40分
カート・アイケンバウム

 新たなメールが見つかったのには、アベディンのメール管理のあり方が災いした。彼女は4つのメールアカウントを使用していた。1つ目は機密扱いではない国務省のアカウント、2つ目はクリントンの私用メールアドレス、3つ目はYahooだ。そして4つ目がウィーナーのメールアドレスに関連するもので、捜査記録によると、彼女は元夫が下院選に立候補した際に選挙活動を支援する目的で使用した。クリントンが公務にも私用サーバーを使用していたことを把握していなかったアベディンは、4月のFBIによる事情聴取の中で、私用アカウントを使用したのはクリントンの友人とのやり取りなど個人的な事柄に限っていたと説明した。公務に関する連絡は、国務省が割り当てたメールアカウントを主に使用していた。

 クリントンはメールを電子端末の画面上より印刷して紙で読む方を好んだため、本文や添付ファイルを印刷して外交文書用郵袋で外交保安局のエージェントが彼女の事務所か自宅に届けていた。一方、アベディンは多くの国務省職員と同様、省内のネットワークの使い勝手が悪いと感じており、大量の文書を印刷するのに手間取っていた。そのため時折、送受信したメールを国務省のメールアカウントからYahooかクリントンの私用サーバーへ転送し、そこから印刷していた。

側近がクリントンの窓口に

 アベディンはクリントンが目を通す必要がありそうなメールを受信するか、クリントンが印刷用にメールを転送してきた場合にも、基本的にこの方法で対処した。FBIの捜査官にも、大量のメールを読まずに印刷することが多かったと証言した。その理由の一つは、国務省の職員らがアベディンをクリントンに通じる「窓口」だとみなし、クリントンに見てほしいメールがあればとりあえず彼女に送っていたためだと、捜査記録に記されている。可能性としてはこの過程で、クリントンの機密メールがやりとりされたかもしれない。

 政府関係者は、アベディンが印刷用にメールを転送していたことが、ウィーナーの事件で押収されたパソコンで新たなメールが見つかる結果を招いたと話す。アベディンが問題のパソコンを使って、クリントンとメールを送受信していた証拠はある。ただしその中にFBIの捜査対象になったメールは一つもない。

 FBIは日曜、新たに発見した電子メールの捜査令状を取得した。捜査対象になったメールが機密文書に相当しなければ、訴追は免れる。ただし、この時点で捜査が始まるだけでも、選挙戦を優位に進めていたクリントンにとっては大打撃だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、米大統領の空爆停止要請受け入れ 次回3者協

ビジネス

米エクソン、第4四半期利益は予想上回る 生産コスト

ビジネス

シェブロン、第4四半期利益が予想上回る ベネズエラ

ビジネス

スイスフラン操作には一切関与せず、中銀表明 米為替
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 5
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 6
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 7
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 8
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 9
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 9
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中