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フロリダ銃乱射事件から1週間、生存者が惨劇の一部始終を語った

2016年6月20日(月)19時27分


多数の負傷者

 クラブのすぐそばにある消防署「ステーション5」の消防士たちは、緊急通報が入る前に銃声を耳にしていた。彼らが到着したとき、まだクラブから脱出している人々の姿があった。

 消防士たちは負傷者の一部を消防署の裏の安全な場所に避難させた。救急車が負傷者を乗せ(3人一緒に運んだ時もあった)、1─2分の距離にあるオーランド地域医療センターに戻った。関係者によれば、他の負傷者は警察車両であれトラックであれ、手近な車両に乗せて運ばれたという。

 53人の負傷者の大半が治療を受けたオーランド地域医療センターの外傷治療責任者によれば、犠牲者の一部は、胸部、頭部、胃、骨盤を至近距離から撃たれていた。

 クラブ内では、人質たちが引き続きトイレで息を潜めていた。

「私たちは何時間もそこに横たわっていた」とサンティアゴさんは言う。「早く警察が突入して私たちを救出してくれないかと願っていた」

 警察も、また、この惨劇を安全に終わらせる方法はないかと待っていた。

 容疑者は、最初に2箇所のトイレを襲撃した後、警察に電話している。連邦捜査局(FBI)によれば、最初の電話は午前2時半頃に切れたが、もう一度かかってきて、交換手と短いやり取りがあったという。そして交換手がかけ直した。マティーン容疑者は、イスラム主義武装グループへの忠誠を宣言したという。

 電話を切ってもマティーン容疑者は喋り続けた。独り言のときもあれば、人質たちに直接話しかけることもあった。

 彼はテレビ局にも電話をかけた。あるプロデューサーは午前2時45分の電話に出ている。「ニュース13」を担当するマシュー・ジェンティリ氏は、局のウェブサイトへの投稿のなかで、「彼が言ったことは決して忘れないだろう」と書き込んでいる。「乱射犯だ。自分がやった。自分が撃っているんだ、と言っていた」

 ジェンティリ氏によれば、マティーン容疑者はイスラム系過激派組織「イスラム国」のためにやったと話していたという。

 アフガニスタン出身の両親を持つニューヨーク生まれの同容疑者は、ある時点で、おそらくアラビア語だろうと思われる言葉で話し始めたという。「そのときは彼が何を言っているのか分からなかった。とても早口で喋っていた」

 警察との会話のなかで、マティーン容疑者は爆発物を所持していると示唆していた。そこでSWATチームはトイレの奥の壁を破るプランを決定した。午前5時、彼らは建物の裏に仕掛けた爆薬を起爆させ、その後武装車両で壁を破って突入した。

 数分後、マティーン容疑者は死亡していた。

 (Peter Eisler記者、Yara Bayoumy記者、Letitia Stein記者、翻訳:エァクレーレン)

[ロイター]


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