最新記事

在日外国人

同胞の部屋探しを助ける中国出身の不動産会社社長(前編)

2016年4月19日(火)17時15分

 不動産業についていえば、日本の最大の特徴は「真」だろう。つまり彼らがお客に提供するものは、いずれも確かでうそ偽りがない。わが社ではそうした「真」のサービスに加え、手がける物件はいずれも私自身が実施調査をおこなっている。というのも、ふつう中国人客は、物件そのものの状態のほか、さらに詳細な状態を知りたがるからだ。たとえば、水道管や電気回路は何年交換していないか、万が一にも地震があれば、周囲にどんな避難所があるか、などなど。これらについては実情を把握して、問い合わせには必ず答えるようにしている。

【参考記事】中国富裕層が群がるアメリカの高級物件
【参考記事】2000億ドルもの中国マネーがアメリカに消えた?

 ここ数年、大陸や香港、台湾などから来日した大勢の人が不動産に投資しており、不動産購入後のレンタルや管理などの問題におよんでいる。これについては、わが社のレンタル管理部門が相応の調整をおこなっている。

 外国からの投資家のために私たちが手がけることは――テナント・借家人が退去する際、家主の代わりに現場をチェックしたり、空き部屋の内装のリフォームをしたり、入居者の募集、入居審査、居住中の管理、毎月の家賃の代行徴収、ビル管理会社からの各種連絡、管理費の代理納付をすること。さらに、国税庁からの固定資産税通知の受理と税金の代理納付、月に1度の家主への決算報告などもおこなっている。つまり、私たちはアフターサービスまで一貫して手がけているのだ。

 住宅の購入は、どのお客にとっても大ごとであり、白菜を買って嫌になれば捨てるのとはわけが違う。きわめて重大なことなので、必ず熟考しなければならない。それで会社のスタッフには「接客する際、住宅を購入する人の立場に立ってみれば、お客様のどんな要求も不当ではない。値引きをしてほしいとか、あれやこれやの要求ももっともなことだ」と、よくいっている。

 とはいえ、時にはわが社のお客が再三、物件の値引きを求め、その間に他の人に購入されてしまうこともある。こうしたことは珍しくはない。家主は買い手に誠意があると思えば、売ってくれるだろう。われわれ中国人は、言い値を値切らないと損をすると思うし、売るほうも値引きを前提に吹っかけるのが普通だ。日本の住宅価格はわりに安定していて、何年も大きな変化はないし、しかもうそやごまかしがないのだ。値段によって質も異なるのは、当然のことだ。

※シリーズ第2回:同胞の部屋探しを助ける、中国出身の不動産会社社長(後編)


『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』
 趙海成(チャオ・ハイチェン) 著
 小林さゆり 訳
 CCCメディアハウス


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インドとパキスタン、即時停戦で合意 米が仲介

ワールド

グリーンランドと自由連合協定、米政権が検討

ワールド

パキスタン、国防相が核管理会議の招集否定 インドに

ワールド

韓国与党、大統領選候補指名やり直し 韓前首相に一本
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 3
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 4
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 7
    指に痛みが...皮膚を破って「異物」が出てきた様子を…
  • 8
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 9
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 10
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 6
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 9
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 10
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中