最新記事

中国政治

中国「反スパイ法」、習近平のもう一つの思惑

2015年10月2日(金)16時27分
遠藤 誉(東京福祉大学国際交流センター長)

●江世俊という名前は、何だか最近、よくネットで見られるようになった。2014年5月25日の正午ごろに一度ネット上に出現したことがある。2014年10月23日23:04

 一方、2014年10月16日 08:57:45には、「汪偽南京国民政府漢奸名録」(汪兆銘傀儡政権南京国民政府漢奸リスト)というタイトルのブログが新浪博客(ブログ)に現れた。このリストの中ほど辺りを見ていただきたい。そこには他と区別して目立つように「江冠千」のことが書いてある。この「江冠千」こそは江沢民の実父・江世俊の別名である。

 ブログの中にある「前zhonggong」は「前中共」のピンイン表示で、「総shuji」は「総書記」、つまり、ここまでは「全中共総書記」の隠し文字である。

「国家zhuxi」は国家主席、「江zemin」は「江沢民」のこと。

 この文章の隠し文字部分を通して書けば「前中共総書記、国家主席 江沢民」となる。「江世俊は、江沢民の実父ですよ」と書いてあるのだ。

 これらの予兆現象を中国大陸のネットユーザーが最も頻繁に使用する「百度」空間で現出させたのちに、2014年11月1日に「反スパイ法」を制定した。

 この企みは何を意味するのだろうか?

国家安全法と反スパイ法とは何が違うのか?

 一方、反スパイ法の制定と同時に、1993年に制定された中華人民共和国国家安全法(ここでは便宜上、これを旧国家安全法と称する)が撤廃され、2015年7月1日に新たに中華人民共和国国家安全法(これを便宜上、新国家安全法と称する)が制定された。

 なぜ旧国家安全法を撤廃し、新たに新国家安全法を制定しなければならなかったのか?

 また、国家安全法と反スパイ法では、「スパイを逮捕する」ことに関して、何が違うのかを深く分析してみよう。そうすれば、習近平国家主席の思惑が見えてくるにちがいない。

 旧国家安全法には、反政府活動をおこなった者には「国家転覆罪」といった罪名をつけて逮捕することができ、又その第四条 には「国家安全を脅かす行為とは、海外の機構、組織、個人の指図により国家安全を脅かす」場合が含まれており、そこには「スパイ組織に参加した者あるいはスパイ組織の依頼を受けて国家機密を提供した者」を含むと書いてある。

 ということは、これらの条文に基づき、2014年11月1日前でも、外国人をスパイ容疑で逮捕することが不可能ではなかった。事実、2014年11月1日前にも日本人を拘束している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インドネシア、株式市場の透明性向上へ改革 経済担当

ビジネス

12月住宅着工、前年比1.3%減 2025年は3年

ワールド

ビットコインが2カ月ぶり安値、FRB議長人事巡る観

ワールド

FRB議長人事発表で市場の不透明感払拭へ、ウォーシ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 8
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 9
    配達ライダーを飲み込んだ深さ20メートルの穴 日本…
  • 10
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 8
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中