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イタリア

【写真特集】打ち捨てられたイタリア文化遺産

財政難で多くの文化遺産や遺跡が修復されないまま崩壊の危機にある

2015年8月4日(火)15時15分
Photographs by Stefano de Luigi

シチリア島のセリヌンテにある古代ギリシャの遺跡、ヘラ神殿。いくつかの修復家チームが損壊を防ごうと手を尽くしてきたが、費用不足の影響は大きい。最後に修復作業が行われたのは80年代だが、鉄の棒が石に残されたままでかえって痛みの原因になっている(14年5月)

 「コロッセオ(円形闘技場)がある限り、ローマはある。コロッセオが崩壊すれば、ローマは崩壊する。ローマが崩壊すれば、世界が崩壊する」。8世紀の聖職者ベーダのこの言葉は、勝利の可能性と戒めを垂れるものとして今日でも示唆的だ。

 芸術・文化遺産が数多いという点で、イタリアは世界でも比類なき存在だ。ユネスコ(国連教育科学文化機関)の文化遺産の数は世界一だし、憲法で「歴史・芸術遺産」の保護をうたう数少ない国でもある。

 だが経済危機による財政難で、多くの文化遺産や遺跡が修復されないまま、崩壊の危機にある。写真家のステファノ・デ・ルイージは南のシチリア島から北のベニスまでイタリア中を回り、その現状を写真に収めた。

 考古学者で歴史家のサルバトーレ・セッティスは、イタリアの文化遺産は欧州共通のアイデンティティーを形成するのに貢献できると指摘する。「博物館や記念碑がたくさん存在することで、イタリアには独特の統一感が生まれている」

 遺産を朽ち果てるまま放置する代わりに上手に活用すれば、イタリア経済にとっても再生のチャンスとなるのだが。

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イタリア北部では12年5月に2度の地震が発生。マントバのドゥカーレ宮殿も被害を受け、今も一部閉鎖中だ(写真は収蔵品)。修復にはおよそ500万ユーロが必要という。16世紀に建てられた宮殿は、「結婚の間」のアンドレア・マンテーニャ作壁画が有名(14年6月)


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1477年、フィレンツェで実権を握るメディチ家のロレンツォ・デ・メディチの意思で建てられた農場の一部。取り壊す話もたびたび出たが、文化遺産保護団体などの努力で屋根以外は破壊を免れた。しかし今や打ち捨てられ、ホームレスの溜まり場に(14年6月)


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ドゥカーレ宮殿の「トロイの間」は1530年代に造られた。設計と装飾を担当したのは、画家ジュリオ・ロマーノ。壁面にはトロイア戦争のフレスコ画が描かれている。やはり12年5月の地震で、今も閉鎖されたままだ(14年6月)

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