最新記事

ネット

ロシア「ブロガー法」に引っかかったフェイスブック

ビジターが月3000人を超えるとマスメディアとして政府の監視下に置かれる言論弾圧にいつまで抵抗できるか

2015年5月26日(火)17時43分
ケリー・フリン

ブラックボックス ロシア政府は米ネット大手の中身も把握したい Dado Ruvic-REUTERS

 フェイスブックがロシア政府とトラブルになるのはこれが初めてではない。ウクライナとの紛争が始まってからはとくに監視の目が厳しくなっている。今回は遂に、法に触れていると難癖を付けてきている

 フェイスブックとツイッター、グーグルの米ネット3社は以前から、反政府派に対する検閲とユーザー情報の収集に協力するようロシア政府に命じられてきたが応じていなかった。ロシアの「通信・情報技術・マスコミ監督庁」は5月6日、3社が「ブロガー法」に違反していると警告。違法行為を非難した。

 2014年に制定されたこの法律により、1日のビジター数が3000人を超えるブログは「マスメディア」とみなされ、政府への登録を義務付けられている。この法律に違反した企業は初犯で罰金約6000ドル、2回目以降は最長30日間の営業停止処分になる。しかし、米ネット3社に集まるユーザー情報やデータは見えないため、ロシア政府はすべての「マスメディア」を監視できずにいる。

米ネット大手は今のところロシア当局の命令をシカト

 通信・情報技術・マスコミ監督庁のヴァディム・アンペロンスキー広報担当官は、政権寄りのイズベスチヤ紙に対し「外国のネット企業にこのような通達を送るのは珍しいことではない。普通は何らかの反応があるものだ」と語っている。

 同庁は同時に、大衆暴動や過激派の活動に関わるコンテンツを削除するよう求めている。実際、フェイスブックとツイッターは反体制派の活動に不可欠のツールになっている。同庁の調査によると、過激派の情報伝達でいちばん大きな役割を果たしているのはツイッターだった。ロシアの通信・ネット企業は特定のURLを遮断している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

任天堂、25年3月期のスイッチ販売計画は1350万

ビジネス

任天堂、今期営業益見通しは24%減の4000億円 

ビジネス

午後3時のドルは154円半ば、連休終えて円反落

ビジネス

日経平均は3日ぶり反発、米金利低下を好感 ハイテク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中