最新記事

避妊

男性用ピルに「99%有効」のお墨付き

ガンダルサの葉に受精能力を低下させる成分があることが治験で確認され、錠剤の開発に期待が高まる

2014年12月4日(木)17時30分
パトリック・ウィン

男性が飲む番 セックスの1時間前に飲むだけで効果が Romantic-Couple-In-Love

 一見すると、どこにでも生えているような低い灌木だ。しかし、その葉に秘められた薬効はセックスに革命をもたらすかもしれない。

 その名はガンダルサ。葉に含まれた成分を利用すれば、長く待望されてきた男性用の経口避妊薬を製造できそうだ。

 インドネシアとパプアニューギニアが国境を接するジャングルに覆われた島ニューギニア島。この島の先住民の間では昔からガンダルサの葉に妻の妊娠を防ぐ効果があることが知られていた。インドネシアの研究チームが近年、この伝承に注目。数百人の男性被験者を対象に、ガンダルサの葉から製造した錠剤の効果を調べてきた。

 結果は? 「99%有効だ」と、この研究を率いたバンバン・プラジョゴは太鼓判を押す。研究チームは政府機関の国立家族計画調整委員会とインドネシアの名門大学アイルランガ大学の研究者たちで構成されている。

 ガンダルサの経口避妊薬はインドネシアでは16年に発売される予定だ。研究チームに薬の作用や特徴を聞いた。

──妊娠を防ぐ仕組みは?

 この薬は精子に含まれる酵素の働きを弱め、卵子の中に入り込めないようにする。女性用のピルと違って、ホルモンに働きかけるわけではないので、不快な副作用は出ない。

──服用回数は?

 1日1回でいいだろう。ニューギニア島の先住民はセックスの30分前にガンダルサの葉を煎じた茶を飲む。バンバンは、服用量については、もう少し厳密に詰めたいと言っている。できればセックスの1時間前に1錠飲めばすむようにしたい考えだ。

──副作用は?

 ほとんどない。被験者の中には、服用後に体重が増えた人もいる。また、性欲が非常に高まった人もいる。少なくとも1人の被験者は、2つのタイプの酵素(SGOTとSGPT)の血中濃度が高くなり、心臓か腎臓の機能に問題があることが疑われる(ピルと関連があるのか、それ以外の健康上の問題かははっきりしない)。ホルモンベースの女性用ピルでは吹き出物、吐き気、不正出血などの副作用が起きがちだが、全体的に見てガンダルサでは、これらにちょっとでも近いような症状は、まったくないと言っていい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 9
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中