最新記事

軍事

介入主義に走るフランスの強気

かつて弱腰だと嘲りの言葉を浴びた国がオランド大統領の下で積極的軍事介入に転じている

2013年11月27日(水)16時47分
ベニー・アブニ

警察役 フランスがマリに送り込んだ精鋭部隊の兵士たち(今年7月) Joe Penney-Reuters

 自由と民主主義、自国らしさを守るためなら武力行使を最もいとわない指導者は誰か。ヒントを出すと、彼は筋金入りの社会主義者で、アメリカ人に「チーズを食べながら降伏する猿」と軽蔑された国を率いている。

 答えはフランスのフランソワ・オランド大統領。彼の下、フランスは国連安保理の5つの常任理事国の中で一番の介入主義国となった。オランドの国内での人気はいまひとつだが、国外では精力的に活動している。

 オランドはフランスの元植民地だけでなく、他の地域にも積極的に軍事介入を行っている。アフリカ北部や中東地域への新たな介入主義は、外国での戦争から手を引きたがっているアメリカとは対照的だ。

 その背景には、10年12月に始まった「アラブの春」がフランスにとってアメリカより「はるかに身近な出来事」だったことが挙げられると、ジェラール・アロー仏国連大使は言う。地理的に近いだけでなく、フランスにはアフリカ北部からのアラブ系移民が大勢いる。「わが国は常にアメリカに介入を頼って来たが、もうそれはできない」と、アローは言う。

 11年には当時のニコラ・サルコジ大統領やイギリス政府が、バラク・オバマ米大統領にリビア介入を迫った。NATO(北大西洋条約機構)主導の空爆作戦ではフランス軍パイロットが中心となり、最高指導者ムアマル・カダフィと戦う反体制派を勝利に導いた。その後のリビア騒乱が、大規模な軍事介入についてオバマ政権を慎重姿勢に転じさせたが、フランスは違った。

 8月にシリアが化学兵器を使用したとき、オバマは軍事介入の構えを見せ、議会に承認を求めようとしたが承認は得られそうになかった。イギリスでもデービッド・キャメロン首相が、軍事行動について議会の承認を得られなかった。

議会などほとんど無視

 しかしオランドは違った。経済成長の鈍化や失業率の高さから支持率は20%前後にとどまり、有権者の3分の2以上がシリアへの軍事介入に反対を表明するなか、オランドはアメリカ主導のシリア空爆に、議会の助言や同意を得ることもなしに要員を送ると表明した。

 結局オバマは態度を翻し、オランドは激怒した。先週には、米国家安全保障局(NSA)がフランス政府関係者などの電話盗聴を行っていたことが発覚し、米仏関係はさらに冷え込んだ。

 フランスはシリアに対して、アメリカの支援なしに軍事介入を行う準備ができていない。だが、その他の地域では積極的に軍事介入を行うつもりだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:コーヒー相場に下落予想、「ココア型暴落」

ワールド

アングル:米公共工事から締め出されるマイノリティー

ワールド

再送-米政府、海上停滞中のイラン産原油売却を容認 

ワールド

米国防総省、パランティアのAIを指揮統制システムに
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    メーガン妃、親友称賛の投稿が波紋...チャリティーの場でにじんだ「私的発信」
  • 3
    BTSカムバック公演で光化門に26万人、ソウル中心部の交通を遮断 ──「式場に入れない」新婦の訴えに警察が異例対応
  • 4
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 5
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 6
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 10
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中