最新記事

コンビニ

次世代スマート自販機はコンビニの未来をアマゾンと争う

2016年10月13日(木)18時22分
アマンダ・ラザニ (c) ReadWrite[日本版]編集部

無機質に見える自動販売機がIoTキオスクになる日も近い? (c) ReadWrite[日本版]編集部

<アメリカのアマゾンがプロジェクトコモというコードネームでCVS分野に進出することが明らかになった。だがこの分野に進出しようとしているのはアマゾンだけではない。ネットに接続されたスマート自販機がアマゾンの強力なライバルになろうとしている>

 スマート自動販売機は、IoTがどのようにビジネスモデルを変え、収益に影響を与えるかがよくわかる例だ。

 自販機業界に変革の波がやってきている。コネクテッドデバイスが生み出すデータにアクセスできるようになり、企業がそれをどう運用し、どう利益を生み出すかという方法が変わったのだ。デバイスが常に接続されることで、企業は自販機の状態把握をサービスとして提供できるようになった。

 ユーザのカスタマイゼーション、セキュリティの強化、スマートペイメント、在庫や売れ行きパターンのモニタリングなど、自販機の利益率を向上する方法はたくさんあり、コネクテッドデバイスの可能性は無限大だ。

 従来の自販機は、登場した100年ほど前に比べて各段に進化した。デジタル領域を含むテクノロジーがそれらをスマートで、接続性のあるものに変えたのである。

ケーススタディ:コカ・コーラ社とSAP

 たとえば、コカ・コーラ社は次世代スマート自販機『Freestyle』を導入するために1600万のIPアドレスを保有している。ネットワーク接続性を自販機に持たせることで、コカコーラ社は各々の在庫のリアルタイムのマーケティング調査、顧客の好みを把握することができ、それに応じて飲み物の在庫を変えることができるのだ。Freestyleは、全米および全英のファストフード店で見ることができる。

 もうひとつの大手はSAP社だ。同社は、無線機器のためにさまざまなプラットフォームやソリューションの開発を行っている。同社のソリューション『Smart Vending』は、リアルタイムのダッシュボードと可視化ツールで、ネットワーク全体および自販機のそれぞれの売上、メンテナンス情報などを把握することができる。

 こうして、企業はさまざまなテクノロジーを使用することで、自販機をただスナックを販売するだけのものから"1つの販売センター"に変えることができる。Smart Vendingは、パブリックな場所や企業設備として見かけることができる。その中身は、コンピュータの備品やチケット、食品にオフィス備品などだ。IoTを取り入れない従来の自販機の所有者は、世間から取り残されることになるだろう。


1台でソフトドリンクのコンビニ状態 コカ・コーラの次世代スマート自販機『Freestyle』は、コカ・コーラ、ファンタ、アクエリアスなど同社の商品をオリジナルのほか、レモン、オレンジ、ピーチ、ライムなどさまざまな味付けにし、さらにそれらをミックスさせて消費者がオリジナルのレシピを作ってアプリに登録して飲むことができる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマーで総選挙投票開始、国軍系政党の勝利濃厚 

ワールド

米、中国の米企業制裁「強く反対」、台湾への圧力停止

ワールド

中国外相、タイ・カンボジア外相と会談へ 停戦合意を

ワールド

アングル:中国企業、希少木材や高級茶をトークン化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中