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自信のない人は「私たちは~」と言えばいい

The Debate of the Confidence Gap, Part.2

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五百田 この本の著者たちが、「私たち」という一人称を使っていることは、ある意味象徴的です。「私」と書くより、「私たち」とすることで、スムーズに意見を言えるようになる。自分一人で立つことが苦手な女性にとって、「私たち」と表現することは、ライフハック的にも有用なんじゃないかと思います。

――本書では、シェリル・サンドバーグやヒラリー・クリントンなど、成功をしているように見える女性たちも、口々に自信のなさを著者に対して吐露している。

五百田 世界的に活躍する女性をロールモデルとして捉えられる人がどれくらいいるかという問題はあるにせよ、いわゆる"鉄人"のような女性たちが本の中で、「会議の前は準備しすぎるくらい準備をしないと不安になってしまう」と語る姿は、女性の共感を呼びそうですね。

田坂 はい、まさにこうした生の声に、私も実際に勇気づけられました。しかし、一方でそういった女性たちは遠い世界の話、と一般の女性たちは突き放してしまう可能性も考えられます。とくに日本女性にとってのロールモデルにはなりにくいかもしれません。

五百田 僕も、いわゆるスーパーウーマンばかりをもてはやす風潮に懐疑的です。仕事をバリバリやって、結婚も子育てもしっかりしなければ女性として認められないというのでは、女性自身を苦しめるのではないかと考えているからです。

 ですが、この本は、そうしたスーパーウーマンのリアルな素顔も描いているので、その人間味にほっとしたり、励みにしたりすることができそうです。

――自信の有無については遺伝的な要素もあると本書では述べているが、そうすると、あとから身につけられるものと考えられるだろうか。

田坂 遺伝子レベルで自信をもちやすい人ともちにくい人がいることは確かだそうです。ただ、解剖学的にも男女の脳の差異は11歳ごろには大きな隔たりができますが、18歳までに均等になるそうです。ですから、女性は理数系が苦手だとか、男性にはシェイクスピアを諦めるといった"刷りこみ"はもたないほうがいいと著者たちは言います。

 ある程度自信はコントロールできることも本書では強調されていますし、その方法も書かれています。たとえば、瞑想で脳を落ち着かせる、感謝の気持ちで幸福と楽観的な思考をつくる、物事は小さく分解して考える、よく寝て、よく動いて、わかちあう......。こういったことを提案してくれています。

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