最新記事
医療

医学界最大級のミステリー脂肪肝を解くカギが判明

FIGHTING FATTY LIVER

2024年11月13日(水)11時31分
ジェス・トムソン(科学担当)
脂肪肝のイメージ

肝臓に脂肪がたまる脂肪肝は、不健康な食生活や運動不足により世界で増加している HORILLAZ/ISTOCK

<発症の引き金となるタンパク質を特定、新たな治療法や医薬品の開発に光が見えた>

アルコールを原因としない「非アルコール性脂肪肝」は、最も一般的な肝臓病だ。患者数は世界中で増えており、アメリカだけでも最大1億人と推定される。その名のとおり肝臓に脂肪が蓄積する病気で、老化や肥満により進行し、肝硬変や肝不全に至る場合もある。

その脂肪肝を予防する方法が見つかったかもしれない。体内の脂肪を脂肪肝の発症を引き起こす形に変換する因子をデンマークの研究チームが特定し、2023年12月に科学誌サイエンスで発表した。


「同じ代謝性疾患でも糖尿病には既に手頃で効果的な薬があるが、医学界で今なお最大級の未解決問題である脂肪肝にも光明が見えてきた」と、論文の執筆者の1人で、細胞のストレス反応を研究するコペンハーゲン大学のシモン・ベッカーイェンセン教授は声明で述べた。

老化や肥満は細胞に「ストレス」を与え、これが活性酸素と呼ばれる化学物質の過剰生産を招く。活性酸素は細胞を傷つけ、さらに「善玉」の褐色脂肪細胞を「悪玉」の白色脂肪細胞に変換して肝臓に脂肪がたまりやすくする。

なぜストレスが発生し脂肪の変化につながるのか、その化学的メカニズムはこれまで明らかになっていなかった。今回研究チームは、「ZAKアルファ」というタンパク質が引き金になっていることを突き止めた。

ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB、動向次第で利下げや利上げに踏み切る=オース

ビジネス

ユーロ圏の成長・インフレリスク、依然大きいが均衡=

ビジネス

アングル:日銀、追加利上げへ慎重に時機探る 為替次

ワールド

トランプ大統領、ベネズエラとの戦争否定せず NBC
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 7
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中