映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が「ほぼ」完璧な映像化だと言える理由
‘Project Hail Mary’ Is a Near Perfect Adaptation – Review
これらのフラッシュバックは、グレースが自らの正体と任務の全体像を組み立てていくためのパズルの断片として機能する。
彼は徐々に、自分が科学者であったこと、地球で成し遂げた研究成果、そして自らが主導して研究していた生物――アストロファージから地球を救うために何をすべきかを思い出していく。この生物は近隣の恒星に感染し、その光を弱めつつある存在だ。
ただし、このミッションはグレース一人で続くわけではない。物語の核心にあるのは、グレースとロッキーの関係だ。ロッキーは別の恒星系「40エリダニ」から来た異星の宇宙飛行士であり、二人はタウ・セチ付近で出会う。
原作では、ロッキーは23人の仲間が放射線で命を落とした後、46年間その場所で待ち続けていたという設定になっている。
ただし映画では、この細かな設定や、ロッキーとグレースの間にあるいくつかの親密なやり取りが省略されている。原作では強い印象を残す場面が、映像ではややあっさりと流れてしまう点は、本作が「完璧な映像化」にあと一歩届かない理由とも言える。
とはいえ、それを補って余りある魅力も多い。とりわけ『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のビジュアル面は圧巻だ。ロードとミラーが描き出す世界観は美しく、宇宙船の精巧な造形はもちろん、ロッキーやタウ・セチの描写も見事だ。





