映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が「ほぼ」完璧な映像化だと言える理由
‘Project Hail Mary’ Is a Near Perfect Adaptation – Review
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ニューヨークプレミアに登場したライアン・ゴズリング Ron Adar / SOPA Images via Reuters Connect
<大人気SF小説を3時間足らずで描き切れるのか。監督のロード&ミラーはその不安を見事に払いのけたが──(一部ネタバレあり・あらすじ・レビュー)>
『プロジェクト・ヘイル・メアリー(Project Hail Mary)』のような熱狂的なファンを持つ小説が映像化されるとなれば、ファンが不安を抱くのも無理はない。
アンディ・ウィアー(Andy Weir)の文章に宿るユーモアや温かさを、映像でどう表現するのか。主人公ライランド・グレースの繊細な人物像を、誰が演じられるのか。グレースとロッキーの複雑な関係性を、3時間足らずで描き切れるのか。
だが、フィル・ロード(Phil Lord)とクリストファー・ミラー(Christopher Miller)は、そうした不安をほとんど感じさせない。彼らの手がける本作は、冒頭数分で、記憶を失ったまま宇宙で目覚めるグレースの感覚を見事に再現している。
原作同様、観客はくじら座の星タウ・セチ付近に到達した状況から物語に入っていく。ライアン・ゴズリング(Ryan Gosling)が演じるグレースは、10年以上にわたる人工的な昏睡状態から目覚め、当然ながら混乱し、恐怖に包まれ、言葉も発せない状態だ。
ロードとミラーは、この映画が単なる緊張や恐怖だけを描くつもりではないことをすぐに示す。むしろユーモアも重要な要素だ。ゴズリング演じるグレースはベッドから転げ落ち、腕を使って床をはい回り、周囲の状況も分からないまま船内をぶつかりながら進む。
原作を読んでいて、かつゴズリングのこれまでの出演作を知っていれば、キャスティングディレクターのニコール・アベレラ(Nicole Abellera)とジーン・マッカーシー(Jeanne McCarthy)が彼をグレース役に選んだことに驚きはないだろう。この役に彼より適した俳優はいない。
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