最新記事
ファッション

胸も脚も、こんなに出して大丈夫? サウジアラビアの「水着ショー」が、想像を超える大胆さだった

Saudi Arabia's Historic First Swimsuit Show in Photos

2024年5月25日(土)20時47分
ジーザス・メサ
アラブの女性ファッション

Bojan Milinkov/Shutterstock

<社会の近代化を推進する近年のサウジアラビアは、ファッションと文化の世界的なハブになることを目指している>

サウジアラビアで初の水着ファッションショーが開催された。近年まではイスラム教の戒律によって女性が肌や髪を見せることを避けるため、全身を覆うような服装が義務付けられていたが、今回のショーではモデルたちが胸元の大きく開いた水着などを着用。大胆な「肌見せ」デザインを公の場で披露するのは、大きな文化的シフトといえる。

■【動画】お腹も胸元も「想像を超える開放度」だった...そんなに見せて大丈夫? サウジで「水着ショー」開催

ショーは5月17日、セントレジス・レッドシー・リゾートで初開催されたレッドシー・ファッション・ウィークの2日目に行われた。

プールサイドで行われたショーでは、大半のモデルが肩を出し、腹部が一部露出した水着や、胸元が大きく開いた水着を披露したモデルもいる。数年前までは、公の場で着用するのは考えられなかったデザインだ。

ショーの目玉はモロッコ人デザイナー、ヤズミナ・カンザルのコレクションで、深いVカットやオフショルダーのワンピースから、バンドゥトップ、様々なサロン(腰布)まで、ミニマルなデザインの水着が揃った。

「この国が非常に保守的なのは事実だが、アラブ世界を象徴するエレガントな水着を披露したかった」とカンザルはAFP通信に語り、「この場に来て、サウジアラビアでの水着のファッションショーの開催は、歴史的な瞬間だとわかった」と述べた。

ビジョン2030の下で急成長するファッション産業

ファッションウィークは、サウジアラビアの社会・経済改革プラン「ビジョン2030」の中核的プログラム「レッドシー・グローバル」の一環として開催された。

サウジアラビアのファッション産業は急成長を遂げている。同国のファッション委員会によると、ファッション産業は2022年、GDPの1.4%に相当する125億ドル規模に成長し、23万人を雇用した。サウジは「ビジョン2030」の下、ファッションと文化の世界的なハブになることを目指している。

ビジョン2030を主導するのは、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子だ。ムハンマド皇太子は2017年の就任以来、サウジ社会の近代化を推進し、宗教警察の権限を制限し、映画館や男女混合の音楽イベントを解禁するなどしてきた。

これらの改革は、経済を多様化し、ハイテクから観光、スポーツ、エンターテインメント、ファッションまで幅広い分野を振興させることで、石油依存から脱却するという皇太子の長年の計画の一環だ。

他にも、厳格な文化規範を緩和するための社会改革や、外国資本を呼び込むための大規模なインフラプロジェクトが進行中だ。

とはいえ、「改革者」とも評されるムハンマド皇太子が、独裁的な指導者であることに変わりはない。2018年にイスタンブールのサウジ領事館でジャーナリストのジャマル・カショギが殺害された事件について、米国の情報機関は、ムハンマド皇太子が殺害を命じたと考えている。

ニューズウィーク日本版 大森元貴「言葉の力」
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月15日号(7月8日発売)は「大森元貴『言葉の力』」特集。[ロングインタビュー]時代を映すアーティスト・大森元貴/[特別寄稿]羽生結弦がつづる「私はこの歌に救われた」


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー大統領、物資供給や対ロ制裁強化巡り米議

ワールド

トランプ氏、大半の貿易相手国に15%か20%の関税

ビジネス

FRB本部改修「豪華ではない」、シカゴ連銀総裁が批

ワールド

米、カナダに35%の関税 トランプ大統領が書簡公表
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 6
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中