産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入する切実な理由
電力省によると、イラクは30年までに太陽光発電の発電容量を12ギガワット(GW)に拡大する計画で、今年中にバスラに1GWの太陽光発電所を建設する予定だ。
電力相の1月時点の見積もりによると、25年の夏のピーク電力需要は55GWに達すると予想されているが、供給はわずか27GWにとどまる。
<市民の力>
政府の対応を待たずに行動を起こした市民はアル・アリさんだけでない。
ニネベ県一帯の農家が、建物の屋上や農地に設置した太陽光発電パネルを活用して、灌漑システムや家庭用電力需要をまかなうことができる。
都市部では発電効率を最大化するため、モスルの家屋に特徴的な平らな屋根の上にパネルが密集して設置されている。
モスル在住の農業技師ハッサン・タヘルさんは、太陽光発電に切り替えて家庭生活が一変したと話した。「電気料金は今やとても安くなり、パネルが屋根の断熱材としても機能してキッチンの暑さも和らいだ」とロイターに語った。
需要の急増は地元企業にも及んでいる。
太陽光発電システムの設置会社「モスル・ソーラー」を経営するモハメド・アル・カッタンさんは、特に農村部からの関心が24年から25年にかけて急拡大し、顧客の70%が農村地域に住んでいると話した。
太陽光発電システムのコストは徐々に下がっているが、依然として500万―1000万イラクディナール(約3800―7600ドル)かかり、平均的な5―6キロワットのシステムで約500万イラクディナールだ。