最新記事
イラク

産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入する切実な理由

2025年8月10日(日)12時05分

電力省によると、イラクは30年までに太陽光発電の発電容量を12ギガワット(GW)に拡大する計画で、今年中にバスラに1GWの太陽光発電所を建設する予定だ。

電力相の1月時点の見積もりによると、25年の夏のピーク電力需要は55GWに達すると予想されているが、供給はわずか27GWにとどまる。

<市民の力>

政府の対応を待たずに行動を起こした市民はアル・アリさんだけでない。

ニネベ県一帯の農家が、建物の屋上や農地に設置した太陽光発電パネルを活用して、灌漑システムや家庭用電力需要をまかなうことができる。

都市部では発電効率を最大化するため、モスルの家屋に特徴的な平らな屋根の上にパネルが密集して設置されている。

モスル在住の農業技師ハッサン・タヘルさんは、太陽光発電に切り替えて家庭生活が一変したと話した。「電気料金は今やとても安くなり、パネルが屋根の断熱材としても機能してキッチンの暑さも和らいだ」とロイターに語った。

需要の急増は地元企業にも及んでいる。

太陽光発電システムの設置会社「モスル・ソーラー」を経営するモハメド・アル・カッタンさんは、特に農村部からの関心が24年から25年にかけて急拡大し、顧客の70%が農村地域に住んでいると話した。

太陽光発電システムのコストは徐々に下がっているが、依然として500万―1000万イラクディナール(約3800―7600ドル)かかり、平均的な5―6キロワットのシステムで約500万イラクディナールだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

前セントルイス連銀総裁、FRB議長就任に前向き 利

ワールド

ガザ人道危機「想像を絶する」、日本含む27カ国外相

ビジネス

米7月CPI2.7%、コア加速 関税の影響受けやす

ワールド

トランプ氏、パウエルFRB議長への「大規模訴訟」言
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【徹底解説】エプスタイン事件とは何なのか?...トランプが「顧客リスト」を公開できない理由、元米大統領も関与か
  • 2
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入する切実な理由
  • 3
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客を30分間も足止めした「予想外の犯人」にネット騒然
  • 4
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 5
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 6
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 7
    「古い火力発電所をデータセンターに転換」構想がWin…
  • 8
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 9
    「靴を脱いでください」と言われ続けて100億足...ア…
  • 10
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 1
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 2
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの母子に遭遇したハイカーが見せた「完璧な対応」映像にネット騒然
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 5
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 7
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 8
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 9
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 10
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中