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上院も制したアメリカの民主党。それでも「ブルーウェーブ」は幻だった訳
決選前にジョージア州入りしたイバンカ・トランプ(2020年12月) ELIJAH NOUVELAGE/GETTY IMAGES
<上下両院とホワイトハウスの3つを支配下に収める小さな奇跡を起こしたが、なぜ民主党は薄氷を踏む勝利しかできなかったのか>
2020年11月の大統領選前には、リベラルの主流メディアは民主党が上下両院を制する圧勝、つまり「ブルーウェーブ(青い波)」が起きると報じていたのではなかったか。なぜ大統領選当日の夜の時点でトランプ大統領は3つの激戦州を接戦に持ち込み、共和党は下院で過半数目前にまで議席を積み増し、上院では民主党にリードしていたのか。
ブルーウェーブが幻に終わったのは、世論調査会社と「エリートメディア」による失態のせいなのか?これには、4つの説明が考えられる。
まず最もよく言われるのが、アメリカはトランプにはノーを突き付けたが、国民の支持は今も共和党と民主党の間で二分しているというものだ。評論家も世論調査の回答者もトランプの不支持率の高さに影響され、民主党の優勢を過信した。共和党が下院選で全ての議席の再選を確実にしたことは一貫性を示す驚くべき功績であり、共和党に対する強固な支持を証明するものだった。
2つ目に、共和党のほうが精力的に選挙戦を行った。大統領選と上下両院議会選挙という3つでの敗北を予感していた共和党は、選挙戦を死に物狂いで展開した。そもそも新型コロナウイルスの感染に懐疑的な共和党幹部たちは、岩盤支持層のエネルギーを呼び覚まし熱狂させるため、オンラインではなく生の集会を開催した。候補者が有権者とじかに触れ合うことほど票集めに有効なものはない。民主党が画面越しに訴えるなか、共和党が演説台の上で選挙戦を展開したことは、ラストスパートにおける驚異的な後押しとなった。
3つ目に、全国的な世論調査の総計はジョー・バイデン前副大統領の勝利をほぼ正確に言い当てていたが、特に中西部の激戦州では誤差の範囲以上に予測を外し、その外し方には規則性があった。世論調査は常に民主党に有利に出やすいものだが、トランプが出馬した2回の選挙では共和党が事前の調査を大きく上回る票を獲得している。
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