コラム

トランプを「右から叩く」デサンティスの戦術に活路はあるのか?

2023年05月31日(水)11時30分

これに対して、トランプの方は、「アイツは頭の固いカトリック(つまり福音派ではないし、インテリで大衆とは無縁のエリート)」「デサンティスの言っていることは、俺様のコピー」というような調子で激しいバッシングを続けています。とりあえず、出馬宣言から約1週間が過ぎた現時点での、この2人の舌戦はこうした構図になっています。デサンティス候補の思惑は明らかで、とにかくトランプの持っている「保守票」を切り崩すには、「右から攻めるしかない」というわけです。

その上で、共和党の大口献金元が「刑事被告人トランプ」への献金は渋る中で、自分のところに来る資金を使って、オハイオやニューハンプシャーなど、2024年の年初に予備選の序盤戦が行われる州で優位を固める戦略です。

このような「トランプを右から叩く」作戦というのは、あまり深追いすると、アメリカの中道無党派の常識から「余りにもかけ離れて」しまうことで、「勝てる候補」というイメージを傷付けかねません。ですが、トランプが大きくリードする党内事情を考えると、このような作戦を取るしかない、という判断をしているということだと思います。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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