コラム

窮地のクオモNY州知事、高齢者施設に患者を戻した判断が生んだ「3つの誤算」

2021年02月16日(火)15時00分

一方で、3月から5月にかけて入所者を施設に戻した政策については、結果的におそらくは数千人の人が命を落としたわけで、この公表数字の問題よりははるかに深刻です。ですが、今回は大きな問題にはなっていません。3つの見込み違いが重なったということ、何よりも前例のない中で病床確保に猛進した知事の行動は批判すべきものではないということもありますが、そもそも問題として分かりにくいからだと思われます。

そんなわけで、知事としては今回の批判は余りにも政治的であると反発しており、そこに同情の余地があるかといえば、あると思います。ですが、結果論とはいえ、数千人の救えたかもしれない人命を救えなかったこと、それから知事が出版社の安易な企画に乗って自慢話を出版したことについては、政治的責任を免れないと思います。

以上が今回の問題の現時点でのストーリーです。リベラル派でも権力は腐敗するとか、そういった種類の問題とは違うと思います。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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